tofubeatsがメジャーシーンにこだわる理由 配信ではなくCDとして形に残す醍醐味

4年ぶりとなる5thアルバム「REFLECTION」を18日にリリースしたtofubeatsは、同日に自身初となる著書「トーフビーツの難聴日記」も発売する。2018年に突如襲った突発性難聴をきっかけに書き始めた日記が原形の同著。その中ではtofubeatsという人間の“思考”や“人間性”を垣間見ることができる。

自身初となる著書「トーフビーツの難聴日記」を発売したtofubeats【写真:ENCOUNT編集部】
自身初となる著書「トーフビーツの難聴日記」を発売したtofubeats【写真:ENCOUNT編集部】

現在から過去を俯瞰するために記録を残し続けるtofubeats

 4年ぶりとなる5thアルバム「REFLECTION」を18日にリリースしたtofubeatsは、同日に自身初となる著書「トーフビーツの難聴日記」も発売する。2018年に突如襲った突発性難聴をきっかけに書き始めた日記が原形の同著。その中ではtofubeatsという人間の“思考”や“人間性”を垣間見ることができる。(取材・文=中村彰洋)

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――元々は日記として書いていたものが本となりました。書籍化しようと決めたのはいつごろだったのでしょうか。

「1万字くらい書き溜まったら、次のアルバムのライナーノートにしようと思っていたんです。でもアルバムが全然出なかったので、10万字ぐらいになっていたんです。そのときに昔、『本を出しませんか?』と言ってくれた知り合いの編集者に話したら、『ちょっと読ませてください』となりました。そしたら、『もしかしたら書籍化いけるかもしれない』と。ただ、本にするにはもっとボリュームがあったほうがいいと言われて、『その頃にはアルバムが出ているかもしれないけどなぁ』と言いつつ、書き続けていました。なので、日記がある時期を境に急に量が増えるんですけど、それはそういうことです(笑)」

――アルバムとの同時発売はライナーノートの代わりだからということなんですね。

「ライナーノートとして書き出したので、あくまでそういう形で出したかったんです。逆に書籍としてはある程度のボリュームになれば形にできるけど、それを超えても『アルバムが出るまで待ってくれ、アルバムと合わせたい』とタイミングをそろえてもらいました」

――辛口な表現も多いと思いますが、ご自身で読み直してどう思われましたか。

「自分が『嫌だ』って思ったものを記しておくことも大事かなと思っていました。本を読むまで、tofubeatsというの人間が『ああいう人ではない』って思っている人もいらっしゃると思うんですよ。でも、僕の活動スタンスっていうのは“ああいう感じ”なんです。一本気って自分で言うことじゃないですけど(笑)。独立したこともそうなのですが、そういう部分が意外と伝わってないなと思っていました。“器用でテクノロジーが好きな効率を求めている人”みたいに思われているということも感じていて、『決してそうではないのにな』って。昔から僕を見ていた人も思っていたと思うんです。これが伝わるいい機会だなということで(辛口な部分も)載せてみました」

――人間性をさらけ出したかったのでしょうか。

「そんなこともないんですけど、昔はそういうことをブログでめっちゃ書いてたんで、それを書かなくなったことが大きいです。特に意識して『自分を見てもらおう』みたいなことはまったくなくて、アルバムを作っているとき、どんなことを思っていたかは聞いているだけでは分からないじゃないですか。こういうことを考えながらアルバムを作っているのに、伝わっていない部分を残したいなって。そういうチャレンジをしました」

――トーフさんといえば神戸のイメージが強かったのですが、上京のきっかけは?

「2015年に会社を作って、その直後くらいから東京に部屋を借りていたんです。東京と神戸を行き来する生活をしていて、これでいいかなと思っていたんですけど、今の奥さんと出会って、当時の奥さんは東京で仕事をしていて、転勤ができない仕事だったんです。そういうこともあったり、『4~5年付き合って同棲せんのもなぁ』みたいな普通の理由ですね(笑)。祖父母の介護が落ち着いたり、耳を悪くしたことも少しだけ影響があって、『(時間が)限られてるな』『頑張りどきだな』とも考えたり。いろいろな要因が重なって『環境を変えてみるのもいいかもな』と。引っ越したら、すぐにコロナ禍に入ってしまったので、こんなことなら関西にいても良かったなと思ってはいますけどね」

――18年には突発性難聴を発症、19年に上京、そして20年には結婚と大きくライフタイルが変わりました。何か楽曲作りに影響はありましたか。

「どうなんですかね。意識してそれによって受けた影響を曲にはしてないですけど、きっと生活や人格みたいなものが変わっているので、いろいろと影響はあるのかなとは思いますね。もうちょっと先になって『REFLECTION』を聞くと『なるほどな』と思うことが自分的にあると思いますし、そういうのが音楽を作っている面白さだと思うんです。逆に今、1stアルバムを聞くと当時は思わなかったけど、『メジャーデビュー直後ってあくせくしてたんやぁ』とか思うので。それが音楽作ること、文章を残すことの面白さだと思っていて、それが自分の趣味なんです。そういう感じなのでもうちょっとすれば分かってくるかもしれないですね」

――現在から過去を俯瞰することが好きなんですね。

「そうですね。曲をいっぱい作って置いているのもそれ自体が自分の趣味なんです。それが面白いからやっているっていうのがありますね」

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