突発性難聴、コロナ禍、結婚…tofubeatsが紆余曲折を経て完成させた新アルバムに思うこと
実に4年ぶりとなる5thアルバム「REFLECTION」を18日にリリースしたtofubeats。この4年間でtofubeatsをめぐる環境は大きく変化した。突発性難聴の発症、上京、結婚、そしてコロナ禍……。そんな紆余曲折を経てのリリースとなった最新作にについて聞いた。
アルバム作りのきっかけはホテルの部屋で見た鏡「この状況って面白い」
実に4年ぶりとなる5thアルバム「REFLECTION」を18日にリリースしたtofubeats。この4年間でtofubeatsをめぐる環境は大きく変化した。突発性難聴の発症、上京、結婚、そしてコロナ禍……。そんな紆余曲折を経てのリリースとなった最新作にについて聞いた。(取材・文=中村彰洋)
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――前作「RUN」から4年ぶりのアルバムとなります。このタイミングでのリリースとなった理由をお聞かせください。
「『RUN』が終わったあと、『次作を作るぞ』と進めていました。一旦ミニアルバムみたいな感じで『TBEP』を出そうと決めたのですが、それ自体も半年ぐらい遅れてしまったんです。本当は『TBEP』を出した年(2020年)の12月ぐらいにフルアルバムを出そうというのが当初の心積もりだったんですけど、結果、そこから2年ぐらい押してしまいました」
――これまでで、アルバム間が4年というのは最長です。焦りはありましたか。
「そこはコロナ禍という“言い訳”があったのと、間にまったくリリースしていないわけではなかったので。仕事自体はいつもよりも多いぐらいだったので、そこは特に焦りとかはなかったです。『FANTASY CLUB』とか過去にも長い時間をかけたアルバムもあるんですけど、そういうのっていろんな条件が重ならないとできないことなんですよ。だから正直、時間をかけられて、ラッキーだったと思っています」
――アルバムの構想を始めた当時からは世界がガラリと変わりました。制作に影響はありましたか。
「最初に作ろうと思った18年末から突発性難聴になりました。19年の3月に反射とか鏡をテーマに作ろうって決めたんですけど、概ねそのテーマで達成はできたなと思っています。幸か不幸かコロナ禍になって、そのテーマがより強まったんです。こういうのって最初に思っていたものと違うところに着地して、『スタート地点は鏡だったなぁ』ってなることが多いんですけど、コロナ禍によって逆にそこにフォーカスできるようになったんです。自分自身と向き合う時間が増えたこともあって、むしろテーマが強まったというのがありましたね。それはコロナ禍におけるちょっとラッキーなことだったりするかもしれません」
――テーマを「鏡」に決めたのは耳が悪くなってしまったことと関係があるのでしょうか。
「ちょっと違っていて、耳が悪くなったのが18年11月で博多のホテルで分かったんです。その後、翌年の3月にも同じホテルの同じ間取りの部屋にもう1回泊まるってことがあったんですよ。そのときに鏡を見ていて、よく分からないけど、『この状況って面白いな』って思ったんです。同じ部屋にいて、同じような状況なのに、自分の中身だけが変わってしまっている。耳が聞こえなくなっているというのが面白いなと思って、そのときの写真(※)を撮っておいたんです。どちらかというと、突発性難聴があったからフォーカスというよりも反射的に自分が面白いと思ったことに意味があると思ったんです。なぜこのとき、自分はその状況を面白いと思ったのかを深掘りしていこうっていうのがスタート地点でした」
※「REFLECTION」のジャケット写真にも使用されている。
――表題曲にもなっている「REFLECTION feat. 中村佳穂」ですが、構想時からこれを軸に作られたのでしょうか。
「それは違いましたね。むしろ1番最初は『Mirror』(1曲目)やシングルで出した『Keep on Lovin’ You』が鏡というテーマが決まってから出した曲でした。どちらかというと最初にあった反射や鏡をテーマにした曲はその2つで、その時点では『REFLECTION』という言葉は頭の中にはなかったです。『REFLECTION feat. 中村佳穂』ができてから、『これはぴったりだ』となった感じです」
――全16曲でどのようなことを表現しているのでしょうか。
「わざわざ今の時代にCDとしてアルバムを出すとなったときに、アルバムとして聞かせる仕掛けがないと面白くないと思っているんです。単曲で聞いているのではなく、アルバムとして聞いているから気付けることがあったほうがいいですし、そういうアルバムが自分は好きなんですよね。でも、全体としてのメッセージみたいなものは特になくて、どちらかというと自分が『REFLECTION』というテーマをもとに探っていった記録みたいな感じが近いです。そういう意味では、記録・レポートとしてはきれいにまとめられたなと思っています。長い時間を掛けられたこともあって、最後に調整する時間も取れたので、バランス感的にはいい感じだなと思える出来栄えです」