【週末は女子プロレス#50】電撃退団→実家で介護の仕事→復帰 長与千種に憧れた21歳狐伯の運命を左右した瞬間

昨年8月、Marvelous(マーベラス)から3人の若手選手が電撃退団。女子プロレス界に衝撃が走ったが、その中のひとり、神童ミコトが狐伯(こはく)と改名し、waveに入団した。

waveに入団した神童ミコト改め狐伯【写真:新井宏】
waveに入団した神童ミコト改め狐伯【写真:新井宏】

元マーベラスの神童ミコトは狐伯に改名しwaveで再出発

 昨年8月、Marvelous(マーベラス)から3人の若手選手が電撃退団。女子プロレス界に衝撃が走ったが、その中のひとり、神童ミコトが狐伯(こはく)と改名し、waveに入団した。

 表舞台から姿を消していた狐伯は2・13後楽園に現われ、waveの所属選手となることを発表、4・1新宿で、プロミネンスの鈴季すずを相手に7か月ぶりの試合をおこなったのだが、空白の期間中、彼女はどこで何をしていたのだろうか。

「地元が岡山県で、実家に帰って介護の仕事をしていました」

 とはいえ、引退するつもりは毛頭なく、東京で暮らすための資金作りで働いていたのだという。初体験となる介護の仕事は、「施設の入居者の方とお話したりとか、生活のお手伝いするのがすごい楽しくて。とにかくみんながニコニコしてるのがすごい楽しかったんです」と、21歳の彼女にとって貴重な経験となっていた。それだけに、そのままこちらの道に進む手もあったのかもしれない。が、仕事中はプロレスを思い出さないように心掛け、やるべきことに集中しながらも、いずれはプロレス界に戻ると決めていた。どんなに仕事にやりがいを感じても、再起への夢はブレなかった。しかしながら、具体的に何をどうすればいいのかわからない。ノープランのまま過ごす毎日が続いていた。

 そんな頃、waveを運営する(株)ZABUNの二上美紀子(GAMI)会長と話す機会があった。waveはマーベラス時代から何度も試合をしている団体で、デビュー2戦目もwave。ある意味慣れ親しんだリングでもあったのだ。

「GAMIさんから『プロレスやりたいんだったらウチにこない?』みたいな感じで言っていただいて、waveに入ろうと思いました」

 かねてから、waveには「選手が団結している団体」とのイメージを抱いていた。キャリアやスタイル的にもちょうど“空き家”であり、挑戦する価値は大いにありそうだ。「自分の力を試すため」に新しい闘いの場を求めていた彼女にとって、格好の場ではなかろうか。

 wave入団を決めた彼女は、心機一転、リングネームも改める。神童ミコトから狐伯へ――。

「自分は飛んだり跳ねたりするスタイルが好きで、“狐”のようにリングを動き回り、“伯爵”のように気品ある人になりたいなと思いました。いろんな方に相談して、新しいリングネームを狐伯としたんです」

 そもそも彼女は、テレビで偶然目にした長与千種に憧れてプロレスラーになろうと決心した。もちろん、クラッシュ・ギャルズ全盛時のリアルタイムではない。2012年8月、佐々木健介&北斗晶の健介ファミリーが「24時間テレビ35 愛は地球を救う」でチャリティーマラソンに挑戦。ゴールの際に北斗の先輩、長与が映し出された。この瞬間、運命が決まったというのだ。

「北斗さんご家族がゴールしたところで、自分はその人にすごいインパクトを受けたんです。一目惚れっていうんですかね。アナウンサーの方が『長与千種さんです』と紹介されて、検索して調べたんですよ。それでプロレスラーなんだと知って、長与さんのプロレスをYouTubeで探して見ました。そしたらすごくカッコよくて、長与さんのプロレスで観客が一喜一憂。泣いたり笑ったり喜んだり怒ったりしてるのを見て、自分も自分の行動で人の心を動かせる人になりたいなと思って、プロレスラーになろうと決めたんです」

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