プチ鹿島、岸田政権は「何でも飲み込んでいく」 今最も聞きたいこととは?
プチ鹿島の著書「お笑い公文書2022 こんな日本に誰がした! プチ鹿島政治コラム集」(文藝春秋)が話題を呼んでいる。日課である新聞14紙の読み比べを通じて、政治や新聞社の矛盾を面白おかしく、鋭く指摘し、「ブレることにブレない岸田政権」「令和の新聞=偉い存在ではない」などと、問題点をえぐっている。本著を書くにいたった経緯や思いを聞いた。
内閣支持率60%超の「岸田マジック」の真相
プチ鹿島の著書「お笑い公文書2022 こんな日本に誰がした! プチ鹿島政治コラム集」(文藝春秋)が話題を呼んでいる。日課である新聞14紙の読み比べを通じて、政治や新聞社の矛盾を面白おかしく、鋭く指摘し、「ブレることにブレない岸田政権」「令和の新聞=偉い存在ではない」などと、問題点をえぐっている。本著を書くにいたった経緯や思いを聞いた。(インタビュー=水沼一夫)
――独自の視点で政治や新聞の問題点を突いています。訴えたかったことは?
「ここ数年、東京オリンピックに関する報道とか、政府はコロナ禍でこんな対応なの?という、いちいちギョッとする、記事だけでギョッとすることが結構ありました。この本は政治家をネタにしつつ、一方でこんな記事があって、これに対して何も対応してないよとか、これは記録に残さなくちゃいけないだろうなというある種の使命感から書きました。だから『公文書』という言葉を使って、『お笑い公文書』としました」
――一部の世論調査では、岸田内閣の支持率は60%を超えています。
「書いた通りになっていますよね。最初の見立てと変わりないなあという自負があります」
――高い理由をどう分析していますか。
「安倍さん、菅さんの政権が続いて岸田さんになってすぐに会見があったんですけども、ちゃんと記者の質問に答えようとしていたというのは『今回の総理大臣は誠実そうだな』というイメージを与えましたよね。自分もそうでした。これ岸田マジックと呼んでいるんですけど、結局、安倍さん、菅さんの、ある意味(反動の)貯金というか、先月、朝日新聞に『嫌われない岸田政権』という朝日の世論調査をもとに分析していた記事があったんですけども、どちらかというと女性に嫌われていないというか、そういう分析を朝日はしていましたよね。それは政権自身にまだスキャンダルがないというのと、あと強引な押し進め方はしていないという分析でした。安倍さん、菅さんと比べると政治の進め方が誠実そうだし、人柄も良さそうだし、ちゃんと答えてくれそうだしいいんじゃないという『イメージ』が、かなり功を奏していると思います」
――本の中では「何もしていないのに」と痛烈でした。
「実際、1月から国会答弁をやっていましたけど、よく聞いてみると、岸田さんは『誠実に対応していきたい』とか『見守り続けたい』という言い回しをしていて、それなら“見守りおじさん”ではないかと。一つの方向にかじを切って、それに国民から賛成じゃない意見が上がってくると、そっちに合わせるみたいな対応を各問題でしています。コロナの問題もそうでしたよね。菅さんみたいに一つ結論を決めて押し切るよりも、そういう対応のほうが今は柔軟に見えるんじゃないですかね」
――岸田さんを取材できるとしたら一番何を聞いてみたいですか。
「憲法改正とか言われたことを全部飲み込んじゃうおつもりですか? というのは聞いてみたいですよね。宏池会ハト派と言われた岸田さんがむしろ憲法改正とか敵基地反撃能力とか言い変えたりして、一生懸命な感じがします。僕が『本当は怖い岸田政権』と書いた意味はハト派とかタカ派とか思想的な意味ではなくて、言われたら何でも飲み込んじゃうように見える『空洞さ』なんです。10万円給付のときもそうでしたけど、野党に攻められたら野党の案も飲んじゃって、だから言ってみればタカ派もそうだし、野党もそうだし、何でも飲み込んでいく。野党も反対しようにも反対したらそれも修正してくるから、だからちょっとそういう状況(本当は怖い岸田政権)が、生まれつつあるのかなあというのは見ておかなくちゃいけないと思います」