難関私学大の新グループは「早慶SMART」 近年の“ランク変動”反映した新解釈

世界情勢の変動による円安、物価高などで将来の不確実性が増す中、安定した就職先を確保するため難関大学の人気がいっそう高まっている。私立大学では「早慶上理」と呼ばれる早稲田、慶応、上智、東京理科のほか、「GMARCH」としてひとくくりにされる学習院、明治、青山学院、立教、中央、法政の人気も高いが、ここ数年は各グループの大学間で難易度に差が開き始めており実態をうまく反映していない、という指摘も受験業界から出ている。

難関大として人気の高い上智大学【写真:ENCOUNT編集部】
難関大として人気の高い上智大学【写真:ENCOUNT編集部】

上智、明治、青学、立教、東京理科で新グループ

 世界情勢の変動による円安、物価高などで将来の不確実性が増す中、安定した就職先を確保するため難関大学の人気がいっそう高まっている。私立大学では「早慶上理」と呼ばれる早稲田、慶応、上智、東京理科のほか、「GMARCH」としてひとくくりにされる学習院、明治、青山学院、立教、中央、法政の人気も高いが、ここ数年は各グループの大学間で難易度に差が開き始めており実態をうまく反映していない、という指摘も受験業界から出ている。

 大手予備校講師がこう言う。「よく『早慶上理』と言いますが、これは早慶に上智と東京理科を加えると難関大合格者数が多く見えるという塾や予備校の宣伝のためです。早慶に比べ上智はカトリック高等学校対象特別入学試験、通称カトリック推薦という独特な入学方法がありますし、実際に早慶よりは合格しやすい。早慶の理系学部と東京理科の間にも開きがあります」。一方、「GMARCH」については「学習院は皇室ブランドもあって微妙なのですが、明治、立教、青学と中央、法政の差は開きつつあります。なお中央は23年4月に看板である法学部が都心の茗荷谷キャンパスに移転してきますので難易度は高まることが予想されます」(同)。

 こうした私大難関校のランク変動について高校側はどう見ているのだろうか。新解釈を打ち出しているのが“滑り止めの星”と呼ばれ、毎年1万人以上が中学入試に挑む全国最多のマンモス受験校の私立栄東中高(さいたま市見沼区)だ。同校は毎年の大学合格者数を公表しており、22年は国公立では東京大14人、京都大1人、東京医科歯科大4人、一橋大2人、東京工業大5人、私立大では早稲田大144人、慶応大78人、上智大26人、東京理科大213人、明治大137人、青学大46人、立教大71人というめざましい成績を収めた(同校HPより)。

 興味深いのはこれらの私学7大学を「早慶SMART(スマート)」と呼んでいることだ。早慶を最難関として、残りの上智(S=SOPHIA)、明治(M)、青学(A)、立教(R)、東京理科(T)をその次のクラスの大学群として位置付けているのは明らかだろう。栄東の「進路情報」に掲載されている大学ジャンルは「国公立大等」「早慶SMART」「医歯薬獣」「医学部医学科」の4つ。大学合格状況一覧の中に中央、法政、学習院の名はなくGMARCHに続く日東駒専などの合格者数も割愛されている。栄東の進路指導がどのあたりの大学を目標にしているのかを如実に表しているかのようだ。

「早慶は東大、東工大、一橋大の受験生の併願校なので極めてハイレベルな戦いとなっていて早慶落ちの東大合格もザラにいます。特に早稲田の大学入学共通テスト利用入試は東大以上の難易度になることもあります。就職に強い早慶合格を優先させるなら早めに超難関国立大に見切りを付けるなどの対策が求められます」(同)。

 超難関大受験には“スマート”な決断力が必要ということのようだ。

次のページへ (2/2) 【写真】受験生に感謝の言葉を送る栄東中入試の看板
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