【RIZIN】28年間の現役生活を終えた“世界のTK”高阪剛が激白「今後は日本人のヘビー級を底上げしたい」

「RIZIN.35」での“極真空手世界王者”上田幹雄戦【写真:山口比佐夫】
「RIZIN.35」での“極真空手世界王者”上田幹雄戦【写真:山口比佐夫】

ヘビー級はファンタジックな闘い

――とはいえ、やっぱりヘビー級が盛り上がるといいですよね。迫力の点で他の階級とは違います。
「PRIDEもリングスもUFCも最初はヘビー級から始まっていって、そこから階級制になっていったけど、根っこの部分、ひと昔前は『NO HOLDS BARRED(ノー・ホールズ・バード)』と言っていましたけど、なんでもありでどっちが強いのか。強さを念頭に考えたら、ゴツくて早く動けて強いっていうのがキーになるんじゃないかなーって思いますね」

――あらゆる制限がないほうがわかりやすいんですよね。例えば「ドラゴンボール」でも、孫悟空の相手に魔神ブウが出てきたときに、「オラとオメエは体重が違うから闘えねえ」なんて言ったら、地球が守れなくなっちゃうから(笑)。
「そうですね(笑)」

――制限を設けた中での「最強」は果たして「最強」なのか。
「もちろん各階級の中で競技としてしのぎを削り合ってレベルアップして競技性を高めていくのは大事ではあるんです。総合格闘技を普及させるために競技性は絶対に必要だから。ただ、一時期、PRIDEに熱があったのは、俺たちにはできねえわっていう、のがあったと思う」

――超人にしかできない世界観がありました。
「ただ、視点が離れた人にとってそれはいいことなんですけど、そういう人はいろんなものが見たい人なんだと思うから、そうなると、ちょっと影が薄くなると、他のジャンルに目が向いちゃうから、そうなると格闘技じゃないものに目が行っちゃう。だから競技性を高めていくことで、競技としても見れるし、実際に俺もやってみようっていう意欲も生まれるから、いろんな多角的な要素があってこそ、格闘技を存続させるんだとは思うんですけど、それでもやっぱりヘビー級だよなあーっていうのはあるんですよ」

――分かります、分かります。
「これだけ世界各国で階級別の制度があって、人気も知名度もあって、志す人も増えている中で、重量級って自分の言葉で言うと、『ファンタジックな部分』が残されていると思うんですよ」

――ファンタジックな部分?
「ヘビー級って、あんまり強そうじゃないけど、一発がありそうだなとか、そういうことが起こったりしがちなじゃないですか。ものすごいフラフラなのに一発で仕留めたりするのがヘビー級だったりして、そんなことが起こったりするので」

――確かにそうですね。しかし日本人選手のヘビー級の底上げというか、世界に通用する選手を数多く輩出するには、TK的にはどのくらいのスパンで考えていますか?
「世間の動向とか格闘技界の状況にもよると思うんですけど、1、2年では無理だと思います。下手したら今、中学生の子たちが大人になって、30歳手前くらいになるときに、ヘビー級が最近、盛り上がってきたよな、みたいなことが起こればいいなあとは思っているんですよ」

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