紅白7回出場の山内惠介が燃える場所 コロナ禍でのオンラインライブで気づかされたこと

新曲「誰に愛されても」で素晴らしい大晦日を迎えたいと話す【写真:塩見徹】
新曲「誰に愛されても」で素晴らしい大晦日を迎えたいと話す【写真:塩見徹】

コロナ禍は自分にとってプラスとなる経験だった

 昨年ようやく有観客ライブができる状態になり、最初はお客さまが来てくれるのか本当に不安でした。始まってみるとたくさんのお客さまに集まっていただきましたが、フェースシールドやマスク姿で声も出せず、ペンライトと拍手だけの反応です。

 最初は少し戸惑いましたが、お客さまが目の前にいることが何よりも尊い光景で、お客さまも声を出せない分、真剣に見てくださっているんです。それを見てバンドメンバーもまさに「一音入魂」。以前にも増して力の入った演奏で、それに負けじと僕もありったけの真心を込めて丁寧に歌いました。まるで心と心で対話をしているような、そんな新たな関係が生まれた瞬間でもありました。

 そしてコロナ禍で挑戦したオンラインライブは、その後の活動にとても大きなプラスを与えてくれました。例えばご家族で配信をご覧いただく機会が増えて、実際に家族連れでライブに遊びに来てくださる方も増えました。また有観客ライブが再開しても同時に配信を行うことで、会場に来ることができないみなさまに楽しんでいただけることも分かりました。

 ライブは僕にとってすべての曲に命を吹き込む場所でもあり、その時その場所でしか生まれない命をお客さまと一緒に吹き込んでいきます。僕は歌い手として作詞や作曲、編曲の先生方に作っていただいた最高の作品をみなさまに伝えていく立場ですから、非常に責任を感じます。

 今年は新曲「誰に愛されても」を1年かけて歌っていきます。作詞は売野雅勇先生、編曲は馬飼野俊一先生、そして作曲は恩師の水森英夫先生による作品です。たとえ運命というものに引き裂かれても自分自身を信じる気持ちや真心が大切だというメッセージが込められていて、売野先生ならではの新鮮な言葉がとても印象的な歌です。僕は新曲を1年に1曲というペースで歌っているので、春夏秋冬を通して「誰に愛されても」を愛していただきたい。だからライブではいつもみなさま1人1人の心に種をまくような気持ちで歌っています。

 ここ数年は大変な経験をしましたが、思い切って新たな挑戦をやってみて、はじめはマイナスだと思っていたことが、みなさまに助けていただき、コロナ禍以前よりも歌手として、そして1人の人間として大きなプラスの経験なっていたことに気付かされました。これからも全国のみなさまに歌で真心を届けていきたいですし、今年も素晴らしい大晦日を迎えられるよう、頑張って歌い続けたいと思います。

□山内惠介(やまうち・けいすけ)1983年、福岡県生まれ。99年、作曲家の水森英夫にスカウトされ、2000年に上京。01年、シングル「霧情」でデビュー。デビュー15周年となる15年に「NHK紅白歌合戦」初出場を果たし、以来連続出場中。19年、47都道府県コンサートツアー開催。20年、デビュー20周年を迎え、11月には日本武道館公演を開催。21年、2月にデビュー20周年記念曲第2弾「古傷」発売。22年、デビュー22年目を迎え、新曲「誰に愛されても」を発売。3月24日埼玉・川口総合文化センターリリアを皮切りに、全国ツアーを開催中。

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