殺害予告からうつ病に発展 誹謗中傷と戦い続けたいしだ壱成が感じた「人は悪魔じゃない」
かつては若者のカリスマとして、華やかなスポットライトを浴びたいしだ壱成。2000年代に入ってからは“お騒がせ男”としてのイメージが定着してしまったが、再び俳優としての再起を目指している。
再起目指すいしだ壱成が振り返る、誹謗中傷との戦いの歴史
かつては若者のカリスマとして、華やかなスポットライトを浴びたいしだ壱成。2000年代に入ってからは“お騒がせ男”としてのイメージが定着してしまったが、再び俳優としての再起を目指している。
近年、社会問題となっている著名人への誹謗中傷問題。いしだもすさまじいまでの誹謗中傷を受けた一人だ。特に2018年に3度目の結婚を発表した直後には、相手の女性が10代だったことや、前妻との離婚から間がなかったことなどもあり、当時の本人のツイッターアカウントには苛烈を極めたような誹謗中傷のコメントが殺到した。一度、何かをツイートすると、1万件を超えるようなこともあったという。いったいどのように受け止め、どう消化したのか。振り返ってもらった。(取材・文=角野敬介)
「最初はもう僕も真正面から受け止めてしまって、結構それでショックを受けたりしていたんですけど、なんかある時から変わったんですよね。何て言うんでしょう……、流すっていうんですかね。受け流す方法を知りまして。例えばハゲってきたら『そうだよ』『何か悪い?』みたいに思ったりとか、『死ね』って言われても『死なないよー』って思うようにしたりとか。些細なことなんですけど、それで変わってきたのはありますね。そうやって流すようになると、今までそういうふうに言ってきた方も、だんだん変わっていって、今やすごい根強いファンになっちゃった人もいる。逆にそういうものなんだなって」
当時、誹謗中傷のコメントを書き込んでいた人が、逆にファンに転じるケースも少なくはないという。
「ファンに変わった人、結構多いかもしれません。僕がわかっているだけでも、何人もいますね」と明かした。
ネット上での攻撃だけではない。命の危機を感じたこともあった。3度目の結婚をし、石川県に移住していたいしだのもとに、ある日殺害予告が届いたのだ。突然、警察官に保護され、数日間は警備がついた。殺害予告自体は事なきをえたが、犯人は捕まっていない。
「やっぱり今まで受けたことない言葉でしたから、その言葉は。実際に言われたことではないですが、文字の力、活字の力ってすごいなと」
だが、この事件をきっかけに、いしだはうつ病を発症。仕事を休業せざるをえなくなった。家に閉じこもるようになり、その間は前妻のパート代や、貯金を切り崩してやりくりするしかなくなった。
同じような境遇に置かれ、苦しむ人たちに伝えたいことはあるのか。
「本当に聞き流すことができるのなら、それが一番だと思います。(誹謗中傷をする)相手も何かしらこっちに引っかかってほしいっていうだけだと思う。もしかすると、そこもちゃんと拾ってあげると、意外とすごくいい人だったりとか、すごく良いファンになってくれたりとか。本当に人ってそこまで悪魔じゃないって思うんですよね」