TAJIRIが毒霧で九州プロレスを襲撃 謎に包まれる“狙い”、今後の動きはどうなる?

3年ぶりの行動制限のないゴールデンウイーク(GW)が嵐のように過ぎ去った。今年のマット界では例年以上に東京、横浜を中心にビッグマッチが続いた。中でも最大のイベントは新日本プロレスの5・1福岡PayPayドーム大会。21年ぶりの福岡ドームでのゴングだった。観客動員はまだまだコロナ禍の影響を受けているが、ドーム大会仕様の豪華な演出にファンは酔いしれた。

TAJIRIは筑前りょう太に毒霧を吹きかけた【写真:九州プロレス提供】
TAJIRIは筑前りょう太に毒霧を吹きかけた【写真:九州プロレス提供】

玄海とGAINAのメインイベントは大盛り上がり

 3年ぶりの行動制限のないゴールデンウイーク(GW)が嵐のように過ぎ去った。今年のマット界では例年以上に東京、横浜を中心にビッグマッチが続いた。中でも最大のイベントは新日本プロレスの5・1福岡PayPayドーム大会。21年ぶりの福岡ドームでのゴングだった。観客動員はまだまだコロナ禍の影響を受けているが、ドーム大会仕様の豪華な演出にファンは酔いしれた。

 実はその4時間前にはアクロス福岡で九州プロレスの「DOTAKU VAI!」大会が熱気を呼んでいた。コロナ制限仕様の設定で322人(満員)の観衆を集めている。九州プロレス勢の奮闘にLIDET UWF軍団の参戦もあり盛り上がった。元・魔界2号として知られる筑前りょう太理事長がリングに上がり、今年も「グローカル・タッグリーグ戦2022」を開催することを宣言。10月4日に、東京・後楽園ホール、11月12日、大阪・アゼリア大正と、東西の2大都市に進出、そして12月3日、地元・アクロス福岡と3戦で優勝を争うこととなった。

 九州プロレスファンの拍手がピークに達したところで、筑前が全日本プロレスのTAJIRIを呼び込んだ。SNSを通じて九州プロレスに関心を示していたTAJIRIが真っ赤な花束を手にさっそうと現れた。

 九州プロレスへ敬意を示し、今後の参戦を希望。筑前も快諾し、TAJIRIとファンにも「九州ば元気にするバイ!」のポーズをお願いした。ところが、TAJIRIは筑前にグリーンミストを吹きかけた。「今はけんかを売りに来た。九州プロレス侵略してあげるよ!」と吐き捨てる。顔面を押さえた筑前はピクリとも動かない。セコンド陣に介抱させる様子を一瞥したTAJIRIは、グルグルと回ることもなく、悠々と会場から去っていった。

「オイラも熊本出身で福岡の大学出た一応、九州人だから、九州プロレスの『九州の素晴らしさを日本中に、そして将来は世界中に伝えたい』という思いには共感する。九州の素晴らしさを世界に、か……」とつぶやいていたTAJIRIだが、もちろん額面通りには受け取れないのだが……。

 ファンからも心配する声が出ていたが、思わぬ展開に会場には異常な空気が漂う。そんな中、始まったメインイベントが雰囲気を一変させた。

 王者・玄海がGAINAを迎え撃つ九州プロレス選手権試合。GAINAはのはしたろうと、グローガル・タッグリーグ戦を制し、九州タッグ王座を保持。今回はタッグ防衛戦はあえて臨まず、先の1・3東京・新宿FACE決戦での玄海との「次はサシ」という約束を果たすことを選択したのだ。

エース・玄海がGAINAとの熱戦を制した【写真:九州プロレス提供】
エース・玄海がGAINAとの熱戦を制した【写真:九州プロレス提供】

 パワーとパワーの真っ向勝負が繰り広げられる中、玄海の玄海灘をブレーンバスターで切り返したGAINAはローリングラリアット。さらにラストライド、コーナーからのラストライドと玄海を追い詰めた。投げっぱなしジャーマンの応酬から、玄海は超人拳から打ち首。さらにペディグリーからの玄界灘を急角度で決め、ついに3カウント。19分30秒、方エビ固めで、第10代王者・玄海が初防衛に成功した。

 玄海とGAINAが拳を突き合わせ、健闘をたたえ合っていると、野崎広大が登場。花道でGAINAとにらみ合い、なおも玄海に「いつまであんたら世代がベルトを回しているんだ。この景色変えに来たぞ。このヤロー!」と挑戦のノロシを上げた。玄海も「その言葉を待っとったよ。14周年でこの風景変えて見せろよ。おっさんのポテンシャルみくびるなよ!」と受諾。野崎は玄海に強烈な砲弾スピアーで返答。ダウンした玄海にまたがるとベルトを掲げ「景色を変えるぞ!」と叫んだ。

 九州プロレス設立14周年記念大会(8月11日、福岡アイランドシティフォーラム)での、世代交代をかけた大一番が電撃決定。「九州プロレス最強の男」玄海に、九州プロレス初の生え抜き選手にして団体の将来を背負う「唐津が生んだ緑の猛獣」野崎の激突は、九州プロレスファンが待ち望んでいた一戦だろう。TAJIRIの暴挙でざわついていた会場が、落ち着きを取り戻した。ただ、TAJIRIの毒霧をもろに浴びてしまった筑前は、試合終了後も姿が見られなかった。

 帰るファンをお見送りするのが日常だっただけに、異例なことで、心配する声がアチコチから聞こえてきた。

 一体、TAJIRIは何を企んでいるのか? このまま済むとは到底、思えない。「世界の策士」が、いつ何を仕掛けて来るのか予想もつかない。九州プロレスの今後に暗雲が立ち込めていることだけは間違いない。

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