「子どもが置き去りになっている」 来年に迫った部活動改革、現場からは戸惑いの声も

 厚生労働省が進める働き方改革の一環で、スポーツ庁が来年5月以降から学校の部活動改革を段階的に実施する。教員の長時間勤務解消や負担軽減を目標に、休日の部活動の地域への移行や地方大会の在り方の整理などの具体策を掲げるが、実施まで約1年を前に教育現場では「子どもたちが置き去りになっている」と戸惑いの声が上がっている。

日本の学校文化に長らく根付いてきた部活動はどうなっていくのか(写真はイメージ)【写真:写真AC】
日本の学校文化に長らく根付いてきた部活動はどうなっていくのか(写真はイメージ)【写真:写真AC】

外部コーチや部活動指導員など、学校外の人間が部活動の監督責任者に

 厚生労働省が進める働き方改革の一環で、スポーツ庁が来年5月以降から学校の部活動改革を段階的に実施する。教員の長時間勤務解消や負担軽減を目標に、休日の部活動の地域への移行や地方大会の在り方の整理などの具体策を掲げるが、実施まで約1年を前に教育現場では「子どもたちが置き去りになっている」と戸惑いの声が上がっている。(取材・文=佐藤佑輔)

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 中学校の部活動はこれまで教師のサービス残業で維持されてきたのが実情だ。一般的な教師の勤務時間は午前8時から午後4時半。ここに平日2時間、休日3時間程度の部活動や公務等が加わると、平日最低1日、土日どちらか1日の休養日を設けても勤務時間外労働は過労死ラインの月80時間をゆうに超える。そんな長時間労働の実態を解消するため、国が進めているのが部活動の地域移行。地域ボランティアの外部コーチや自治体の嘱託職員による部活動指導員など、学校外の人間が部活動の監督責任者となり、教員の負担を軽減させるのが狙いだ。

 段階的移行が来年度に迫るなか、中学校教諭の傍ら一般社団法人福島ベースボールプロジェクトの代表理事を務める磯崎邦広さんは「改革のゴールは打ち出されても、実際に子どもたちの受け皿をどうするかなどの議論がなされず、具体的な方策が現場におりてこない」と不安を吐露する。

「外部コーチは地域の指導者が担うことになると思いますが、今のところ資格が必要なく、学校長が認めれば可能です。今後、指導者は技術指導はもちろんのこと、教育という観点からの指導が必要とされます。安易に勝利至上主義に走ることなく、学校部活と地域部活がうまく連携することが重要です。そのための人材をどう確保するのか。また、志のある教員が兼職兼業届を提出して、活動できる環境をどう構築するのか。ここがうまく機能しないと学校部活離れが加速し、さらにスポーツ人口の減少が危惧されます」

 受け皿として地域のクラブ団体があるものの、送り迎えや費用の面を考えたときに家庭の負担が大きく、活動したくともできない子どもが増えることも予想される。指導者を各学校で探さなければいけないのか、結局なり手がいなく教員がやることになるのかも不透明で、練習中のケガや事故、運営のトラブル等についても、責任の所在がどこになるのか、はっきりしたことは分かっていないという。

 地域によっても進捗状況には大きな差がある。山形県では教育委員会や協会が主導し、地域単位のクラブチームとして土日の活動をスタートさせている例がある。現状は兼職兼業を提出した教員が中心となって指導を行い、今後は地域の指導者と連携して活動する具体的な方策も始まっている。都市部では競技団体や民間企業から指導者を派遣しているが絶対数が足りていないのが現状で、まして地方ではあれば人材確保はさらに困難となることが予想される。

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