「ViVi」専属モデルの17歳・嵐莉菜が鮮烈な映画主演デビュー 新人賞確実のスター候補
日本に住むクルド人の少女の姿を描いた映画「マイスモールランド」(5月6日公開、川和田恵真監督)で鮮烈な映画主演デビューを飾ったのが、17歳のモデル・嵐莉菜だ。映画はベルリン国際映画祭でも高く評価された。嵐は日本、ドイツ、イラン、イラク、ロシアをルーツに持ち、「ViVi」の専属モデルとして活躍。年末の新人賞は確実で、世界を舞台に活躍するスター候補になりそうだ。
嵐莉菜インタビュー 映画「マイスモールランド」で日本に住むクルド人高校生役
日本に住むクルド人の少女の姿を描いた映画「マイスモールランド」(5月6日公開、川和田恵真監督)で鮮烈な映画主演デビューを飾ったのが、17歳のモデル・嵐莉菜だ。映画はベルリン国際映画祭でも高く評価された。嵐は日本、ドイツ、イラン、イラク、ロシアをルーツに持ち、「ViVi」の専属モデルとして活躍。年末の新人賞は確実で、世界を舞台に活躍するスター候補になりそうだ。(取材・文=平辻哲也)
プーチンによるウクライナ侵攻で、難民問題が大きく報じられているが、クルド人の悲劇は日本ではあまり知られていないかもしれない。クルド人はトルコ、イラン、イラク、シリアの4か国にまたがる西アジアに住む約3000万人の民族。難民申請をして外国に移住する者も多いが、日本では難民認定された例はほとんどなく、不安定な在留資格しか与えられていない。
本作は、日本に住むクルド人の現実をドラマとして描いた。ヒロインは家族とともに故郷を離れ、幼い頃から埼玉・川口で育った17歳のサーリャ(嵐)。在留資格を失ったことから、進学の夢が絶たれてしまう。それどころか、バイトすることも、県境を越えて、東京にいる友人(奥平大兼)にも会えない……。
嵐は実際にサーリャのような境遇にある同い年くらいのクルド人少女から話を聞いて、役作りした。「台本は、私だったら……と思いながら読んで、涙が出ました。この役をしっかり演じたいと思いました」。
劇中、「サッカーW杯で、どっちの国を応援するのか」と聞かれる場面は、監督が嵐自身の体験を反映させたものだ。「当たり前に日本を応援していたので、なんで、そんなことを聞かれるんだろうって。聞かれること自体もイヤでしたね。小さい頃から、“私は日本人なのに”という葛藤はありました」。
脚本・監督は是枝裕和監督が率いる映像集団「分福」の新鋭女性監督で、日英ミックスの川和田恵真。その丁寧な指導・演出には感謝する。「ワークショップから始めたので、監督とお話しする機会も多かったんです。監督は、設定や話し方も、私が言いやすいように変えてくださったり、共演者の方々と過ごす時間を多く作ってくれました。撮影はほぼ順撮りだったので、最初は緊張しながらも、自然とサーリャになったような気がします」と振り返る。
難しかったのは、在留資格を失い、拘束されてしまった父親との面会シーン。「台本でも泣いて、ワークショップでも何回も泣いてしまった。一番心が動いた場面だったので、一番思い入れがありますが、それが本番でも出せたんじゃないかとホッとしています。ラストシーンは、監督と何度も話をして、撮りましたが、いろんなメッセージを感じ取れるシーンになっていると思います」。