【週末は女子プロレス#47】“筋肉アイドル”才木玲佳の誕生秘話「驚かれるのが快感」 “筋肉卒業”を決めたワケ

“筋肉アイドル”という新分野を開拓し人気を博した才木玲佳が「筋肉を卒業」、同時にプロレスラー引退を発表した。引退セレモニーは、東京女子プロレスの5・3後楽園ホール大会でおこなわれる。プロレスラー才木玲佳は武藤敬司率いるWRESTLE-1(レッスルワン)で2016年3月にデビュー、通算117試合を闘い、そのうち東京女子では半数以上の75試合でリングに上がっている。それだけに、プロレスの故郷レッスルワンがなくなってしまった現在、才木がレスラーとしてのけじめをつけるには東京女子が最適だろう。

東京女子5・3後楽園で引退式を迎える才木玲佳【写真:(C)東京女子プロレス】
東京女子5・3後楽園で引退式を迎える才木玲佳【写真:(C)東京女子プロレス】

「筋肉を卒業」と同時にプロレスラー引退を発表

“筋肉アイドル”という新分野を開拓し人気を博した才木玲佳が「筋肉を卒業」、同時にプロレスラー引退を発表した。引退セレモニーは、東京女子プロレスの5・3後楽園ホール大会でおこなわれる。プロレスラー才木玲佳は武藤敬司率いるWRESTLE-1(レッスルワン)で2016年3月にデビュー、通算117試合を闘い、そのうち東京女子では半数以上の75試合でリングに上がっている。それだけに、プロレスの故郷レッスルワンがなくなってしまった現在、才木がレスラーとしてのけじめをつけるには東京女子が最適だろう。

「実は私の方からお願いをしました。筋肉卒業、プロレス引退を決めたのは昨年の秋くらい。(3月26日に)発表するまでは言えないでモヤモヤしていたんですが、いまは発表してスッキリした気持ちというのが本音ですね。結局、ケガから復帰できずだったんですが、最後は一番お世話になった東京女子さんがいいと思って、打診させていただきました」

 そもそも、彼女はレッスルワンのオフィシャルサポーター、Cheer1(チアワン※正式表記はCheerと1の間にハート)のメンバーとしてプロレスと出会った。試合前のリング上を盛り上げるのがおもな役割だったが、それ以前はプロレスに対していいイメージは抱いていないのが本当のところだった。

「母がプロレスファンで花束嬢をやったことがあると聞いていたんですけど、私はそれまで見たこともなかったし、怖いし痛そうだし、全然楽しそうじゃないなって思ってましたね。ところが実際に生で見てみると迫力が全然違いますし、屈強な男たちが飛んだり跳ねたり殴ったりで、すごいなって。それに、これで決まるだろうと思ったところでやられた方が返してみせるとか、そういうドラマチックな展開が楽しくて、のめり込みましたね」

 するとそのうちに、才木はチアワンの「筋肉担当」に。といってもプロレスとは無関係で、ダイエットのため始めた筋トレですぐに効果が出たことから、身体づくりにもハマっていったのだという。

「当時はラウンドガールのお仕事もしていて、お腹が見える衣装とかも着ていたので、ちょっと痩せなきゃ、腹筋割れていたらいいなとの思いで始めたんですね。そうしたらまわりから褒められたり、筋肉すごいねって驚かれるのが快感で(笑)」

 目に見えて成果が出ると楽しくなってくる。こうして才木は隠れていた才能に目覚め、筋肉アイドルの道を歩み出した。すると今度は、プロレスデビューの話が持ち上がる。レッスルワンがレスラー養成スクール「プロレス総合学院」を開校したのだ。「最初は怖かったです」という才木だが、「せっかくの機会だからやってみよう、やってみたいとの気持ちが大きくなって飛び込んでみましたね」とのことである。

 こうしてレスラーデビューを果たした才木は、レッスルワンに所属しながら女子プロでは東京女子を主戦場とした。16年5月、デビュー4戦目から東京女子にレギュラー参戦。17年3月に優宇の保持するプリンセス・オブ・プリンセス王座に初挑戦するまで東京女子のシングルでは負けなしの快進撃を続けていた。

 彼女が異質に映ったのは鍛え抜かれた筋肉によるパワーだけではない。男子の団体で生まれ育ったからこそのプロレスが、基盤になっていたのである。そこはやはり、武藤プロレスの影響が大きく反映されているのではなかろうか。

「生まれがレッスルワンなものですから、男子っぽいプロレスがしたいなっていうのはありました。プロレスって男子と女子でちょっと文化が違うところがあるようなんですけど、私は男子がやっているような動きだったり、緩急の付け方、間の取り方を意識していたつもりです。ただ、いざ自分がやってみると全然うまくいかない。そこにプロレスの難しさがありましたね。ベタですけど、それでも技がきれいに決まったりとか、会場が盛り上がるとすごく楽しいですし、見ているときにすごいなと思っていた、どんでん返し。たとえば明らかに勝ちそうな選手が最後にクルッと丸め込まれて負けちゃたり、そういう勝負のドラマもあらためておもしろいなって思いました。私はパワーファイター系でしたけど、力だけじゃ勝てないところにプロレスの奥深さを感じましたね」

 プロレスの難しさとおもしろさを知った才木はタイトル戦線で頭角を現し、17年7月に「第4回プリンセスカップ」優勝、翌月には決勝を争った坂崎ユカを破り、プリンセス王座初戴冠を成し遂げた。早くも東京女子の頂点に立ったのである。瑞希、辰巳リカに防衛後、18年1月、山下実優に敗れ王座陥落も、5月には小橋マリカとのタッグでプリンセスタッグ王座を奪取。小橋欠場で返上の同王座にも伊藤麻希とのチームで挑戦。「ベルト絡みの試合はどれも思い出深い」と才木は言う。

「初めてベルトを取った試合では、ベルトの扱いに慣れていないのか、うれしさのあまり逆さまに掲げてしまいました(笑)」

“プロレスラーあるある”の行動ではあるけれど、筋肉アイドルのプロレス王者は芸能界でも話題になった。

「どの現場にもベルト持っていって、出せるところがあれば出して、東京女子、女子プロレスを広めたいと思って活動していました」

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