九州プロレスを「世界の策士」TAJIRIが翻弄 新日との5・1興行戦争前に内部分裂の危機?

九州プロレスの「DONTAKU バイ!」(5月1日、アクロス福岡イベントホール=試合開始午後1時)大会が、風雲急を告げてきた。「世界の策士」TAJIRIが何かとチャチャを入れてきたのだ。

独特の表情を浮かべる策士・TAJIRI【写真:柴田惣一】
独特の表情を浮かべる策士・TAJIRI【写真:柴田惣一】

敵か味方か、くせ者TAJIRIの今後の動きに注目だ

 九州プロレスの「DONTAKU バイ!」(5月1日、アクロス福岡イベントホール=試合開始午後1時)大会が、風雲急を告げてきた。「世界の策士」TAJIRIが何かとチャチャを入れてきたのだ。

「九州ば元気にするバイ!」と、地道にそして着実に歩を進めている九州プロレス。新日本プロレスの「WRESTLING DONTAKU 2022」(福岡PayPayドーム=試合開始午後5時)大会と5・1興行戦争とあって、ファンや応援企業からの応援を受けているが、思わぬところからちょっかいが入った。

 全日本プロレスに所属しながら、世界を股にかけて活躍しているTAJIRIが、九州プロレスに関心を持ちアプローチをかけてきた。

「ジャパニーズ・バズソー(のこぎり)」と異名をとるTAJIRIは、アニマル浜口ジムから1994年にI.W.A.JAPANでデビュー。その後、メキシコ遠征を経て大日本プロレス入り。再び海外に飛び出し米ECWで大暴れ。切れ味鋭い動きで「ジャパニーズ・バズソー」の異名をとった。

 2001年にはWWEに進出し大活躍。「メジャーリーガー」として、その名をとどろかせた。帰国後はハッスルに入団し、新日本プロレスに乗り込んでいる。10年にはSMASHの旗揚げを主導し、WAC、WRESTLE-1などでも活躍。21年、全日本プロレス所属となった。

「世界のTAJIRI」らしく、世界中のマット界とネットワークを結び、未知の強豪を発掘し、金の原石を見出している。そのTAJIRIが九州のローカル団体に目をつけた。ツイッターで「ん……? Yahooニュースの九州プロレスのこの記事、やけに気になる。オイラも熊本出身で福岡の大学出た一応、九州人だから『九州の素晴らしさを日本中に、そして将来は世界中に伝えたい』。こんな志の団体なのか。九州の素晴らしさを世界に、か……」とつぶやいた。

 その数分後にも「九州プロレス次の大会は5・1アクロス福岡か。ちょうど全日本プロレスお休みじゃん。九州プロレスの筑前代表、会ってみたくなってきたなあ。」と、立て続けにツイートしたのだ。これには九州プロレス・筑前りょう太理事長は「感激です、もし5月1日、本当にご都合がよろしければ、お席をご用意させていただきますので、是非ご来場下さい!」と喜びの反応を返した。

TAJIRIに期待する筑前りょう太だが、果たして…【写真:柴田惣一】
TAJIRIに期待する筑前りょう太だが、果たして…【写真:柴田惣一】

 TAJIRIの5・1決戦への来場が電撃的に決定したと思いきや、当然のことながら一筋縄ではいかない。少しずつ雲行きが怪しくなっている。

 TAJIRIが「ちなみに私は、かつて新日本プロレスの棚橋弘至選手を、褒め殺しして油断させ近づき、毒霧かました過去があるのですが、今回はそのような企みは、金輪際ございません。本当です。だから絶対に大丈夫です」とツイッターに書き込んだ。

 これには歓迎ムード一色だった九州プロレスにも、一気に猜疑心が生まれ、危機感が広がった。ツイッターアカウントを持つ九州プロレスの佐々木日田丸、野崎広大、ばってん×ぶらぶら、らは「あやしい」と一斉に警戒感を強めた。

 その中で、めんたい☆キッドは5・1決戦当日のタッグパートナーが決まっていないためTAJIRIに救いの手を求めた。筑前も、毎日、九州への思いを発信し続けるTAJIRIに、全幅の信頼を寄せており5・1決戦への来場を心から待ちわびている。5・1決戦の成功のため、一丸となっていた九州プロレスに、亀裂が走り始め、日を追って傷口が広がっている。

 TAJIRIは「調子いいことばかり口にしているTAJIRIが、必ず悪いことすると、一部で勘違いされている」と嘆いているが、その本心がどこにあるのか、誰にも分からない。

 文字通り百戦錬磨、海千山千、くせ者のTAJIRIである。敵か味方か。蓋を開けなければ分からない。

 08年に設立され、順調に九州からプロレスの輪を広げてきた九州プロレスだが、今この時のメンバーはスリルとサスペンスの日々を送っている。設立14年目にして最大の危機を迎えているのは間違いない。

次のページへ (2/2) 【写真】緑の毒霧を吹き付けるTAJIRIの姿
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