1日1キロ以上食べるヨーグルトマニア厳選の5品 大手からレアなご当地までを徹底解説

「カップヨーグルト研究会」名義で、ヨーグルト情報をSNS発信している向井智香さん。3月に「ヨーグルトの本」(エムディコーポレーション)を発売し、大手やご当地のヨーグルトを紹介している。1日1キロ以上のヨーグルトを食べる向井さんに、おススメヨーグルト5品を教えてもらった。

オススメヨーグルトを紹介してくれたヨーグルトマニアの向井さん
オススメヨーグルトを紹介してくれたヨーグルトマニアの向井さん

「ヨーグルトの本」では300種類超を紹介、著者の向井智香さんに聞く

「カップヨーグルト研究会」名義で、ヨーグルト情報をSNS発信している向井智香さん。3月に「ヨーグルトの本」(エムディコーポレーション)を発売し、大手やご当地のヨーグルトを紹介している。1日1キロ以上のヨーグルトを食べる向井さんに、おススメヨーグルト5品を教えてもらった。(取材・構成=コティマム)

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○生乳(なまちち)ヨーグルトBasic/大石乳業・岩手県

 岩手県花巻市の老舗乳業メーカー・大石乳業の瓶に入ったヨーグルト。まず、瓶がめちゃくちゃかわいい。生乳と書いて「なまちち」と読ませています。生乳とは“絞ったままのお乳”のことです。このヨーグルトは香りと甘みもついていて、ゼラチンと寒天で固められています。すごく加工されているのに、(素材そのままのような生乳という)名前が使われている。そこがまず気になったキッカケです。

 話を聞いてみると、大石乳業の3代目代表が昭和30年代に、売り物だったヨーグルトを味見して、つまみ食いしていたそうなんです。昔のヨーグルトは、香りや甘みがついたスイーツな感じですよね。これはその“幼少期の思い出”を、大人になってから再現したヨーグルト。岩手の良質な生乳で再現しています。

 昔のチープな感じのプリッとした硬いヨーグルトを、「めちゃくちゃいい生乳で作ったらこうなった!」と。上質なプレーンヨーグルトになったであろうものを、あえて昭和30年代の味にしちゃう。高級なのかチープなのか、このチグハグな感じがいい。ギャップ萌えです。

○おたまヨーグルト/小美玉ふるさと食品公社・茨城県

 茨城県小美玉市は、私がヨーグルト活動を拡大するキッカケとなった場所です。小美玉ふるさと食品公社から「第1回全国ヨーグルトサミットin小美玉」に講師として呼ばれ、活動の場が広がりました。小美玉市は関東屈指の酪農市。「乳製品で乾杯!」を推奨する条例を制定し、市民の結婚式にはヨーグルトの無償提供も行っています。

 まず、「乳製品で乾杯条例」を作ってしまうほどに酪農市であることに萌え! 最近のヨーグルトは酸味を控えめにする傾向があるのですが、これは酸味を残しているヨーグルトらしいヨーグルトです。「王道のヨーグルト」を貫いてらっしゃるのがカッコいい。酪農エリアなので生乳もすごく新鮮で、お乳の味もおいしいです。

○ベルギーヨーグルト ピュアナチュール(アプリコット味)/カネカ食品・東京都

 化学メーカーの「カネカ」が2018年から発売しているヨーグルト。カネカさんが作っているというのがびっくりポイント。化学系会社のイメージがあったので。聞いてみると2018年から乳製品をやられていて、ベルギーの乳業メーカーPurNatur社と提携され、翌年ヨーグルトを発売したそうです。

 まず、「ベルギーヨーグルトってなんだ?」という驚き。ベルギー自体は酪農王国で、PurNatur社も100年以上続く老舗です。通常のヨーグルトは一定の温度で発酵させますが、ベルギーの伝統製法では温度を変えて二段階の発酵を行います。発酵後に、攪拌(かくはん)といって“ほぐして滑らかな質感にする加工”をしているので、すごく質感がいい。トロトロすぎず硬すぎない、絶妙にクリーミーです。

 カネカさんは乳業メーカーではないので、「乳の質はどうなのかな?」と思っていたら、北海道の酪農家さんと直接契約を結ばれていて、ちゃんと生乳にこだわっています。写真はアプリコット味ですが、アプリコットソースがあるのに生乳を70%とかなり多く使用していて贅沢。アプリコットの、フローラルで華やかな香りがいいです。ソースと二層になっているので、ヨーグルトと混ぜたての食感を味わえるのも好きです。

向井さんが選ぶオススメヨーグルト5品。左から「生乳ヨーグルトBasic」「おみたまヨーグルト」「ベルギーヨーグルト ピュアナチュール(アプリコット味)」「竹炭ヨーグルト」「麹プレミアムヨーグルトスイーツ」
向井さんが選ぶオススメヨーグルト5品。左から「生乳ヨーグルトBasic」「おみたまヨーグルト」「ベルギーヨーグルト ピュアナチュール(アプリコット味)」「竹炭ヨーグルト」「麹プレミアムヨーグルトスイーツ」

○竹炭ヨーグルト/栗駒フーズ・秋田県

 秋田県の温泉郷・栗駒高原にある栗駒フーズが発売する竹炭入り飲むヨーグルト。見た目は溶岩のようですが、四国の孟宗竹(もうそうちく)という竹を、細かいパウダー状にして練りこんでいます。竹炭自体には味はないので、黒いビジュアルながらおいしい飲むヨーグルトです。竹炭はクレンズやデトックスのような役割。健康志向の方に受けるスペックです。

 栗駒フーズさんは温泉地エリアのメーカーさん。温泉の地熱を使ってそのエネルギーでヨーグルトを発酵しています。環境負荷が低いところも魅力です。美容だけじゃない環境への取り組み、地域のエネルギーをうまく使っていらっしゃるところがおもしろい。

○麹プレミアムヨーグルトスイーツ/Jersy Brown・北海道

 北海道の有限会社十勝ミルキーから出されているブランド「Jersy Brown」。麹の入った瓶型のヨーグルト。ホルスタインとジャージーの2種類の乳牛のお乳をミックスさせています。全て北海道産の原料にこだわってらっしゃる。生クリームと蜂蜜とビートグラニュー糖で甘みつけされていて、そこに米麹が入っているのが特徴、ダブルな発酵食品です。

 風味がまるでヨーグルトとは違う、チーズスイーツみたいです。新種の発酵スイーツのようで例外的なポジション。新しいヨーグルトの楽しみ方ができます。作るのに5日かかるらしく生産量も少ないので、手に入りにくいレアなヨーグルトです。瓶もオシャレなので贈り物にも使えます。

「ヨーグルトの本」では、大手からご当地まで国内300種類超のヨーグルトが紹介させていただきました。ヨーグルトに興味を持った方は、ぜひ手に取ってみていただけるとうれしいです。

□向井智香(むかい・ちか)大阪府出身。同志社女子大学大学院文学研究科情報文化専攻修了。2011年に森永乳業のギリシャヨーグルト「パルテノ」に出会ったことから、ヨーグルト情報の発信をSNSで始める。投稿がバズりさまざまな取材を受けるように。ヨーグルトのワークショップなどを自主的に開く中、18年、「第1回全国ヨーグルトサミットin小美玉」で講師を務める。現在も「カップヨーグルト研究会」名義でヨーグルトレビューを続け、ヨーグルト関連のイベント企画・出演など多岐に渡って活躍中。著書に「ヨーグルトの本」(エムディエヌコーポレーション)。

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