子ども同士のケンカも原則静観 開設40年“禁止事項のない公園”が目指す遊びの在り方
取っ組み合いや殴り合いのケンカでも、危険がない限りは静観する方針
子ども同士のケンカも、危険がない限りは静観するのがプレーパークの方針だ。なるべく大人が仲裁に入らず、当人たち同士による解決を優先させているという。
「年齢によっても違いますが、小学校入学前であればどっちがいいも悪いもない。基本的には本人たちの気が済むまで、泣いてお母さんのところに行ったり、疲れ果てて他の遊びを始めるまでやらせます。小学生になると取っ組み合いや殴り合いのケンカで血が出ることもありますが、そうやって感情の出し方やケガをさせない力加減を覚えたり、自分の気持ちを主張することも必要なことです」(比留間さん)
子ども同士のケンカに親が介入したり、保育や教育の現場に口を出す「モンスターペアレント」という言葉も今では広く浸透している。子ども同士の問題に親が過保護に関わることには、どのようなデメリットがあるのだろうか。
「大人が介入することで、子どもは怒りの感情を取り上げられてしまう。本来は子ども同士の問題で、仲直りしたり、そのまま仲たがいすることはあっても、子ども同士で解決できるものなんです。お互いが納得いく前に大人が止めに入ってかえってしこりが残ったり、親や学校が出たりして、大人たちが事を大きくしてしまうこともある。それは子どもたちにとっても迷惑なことではないでしょうか」(比留間さん)
「全国で核家族化が進み、共働きや一人っ子家庭も増えている。子どもがケガをしたり問題を起こしたら両親のどちらかが仕事を休まなければならず、なるべく面倒ごとなく過ごしてほしいというのが親の本音でしょう。何の問題もなく子どもが育つわけがないのに、現代社会にはその余裕がないのではないでしょうか。子育ては仲間がいないとできないもの。お互いに頼りつつ、小さなトラブルは許容しつつ、そういう輪が広がればいいなと思い活動しています」
40年余りにわたって子どもたちに自由な遊びの場を提供してきたプレパークせたがや。世田谷区から事業委託を受けているものの、運営資金の25%はバザーでの売り上げや寄付に頼っているのが現状だ。現在はコロナ禍で資金繰りが厳しく、広く寄付金を募っているという。