崎山つばさ「2.5次元俳優」と呼ばれることへの“ホンネ”「看板を塗り替える原動力」
人気2.5次元俳優・崎山つばさ。出演作品が絶えず、つねに注目を集め続ける崎山だが、実はデビューしたのは大学卒業後。若手俳優としては“遅咲き”の部類に入る。華やかな飛躍の裏で、悔しい経験をバネにしてきたと言う。「売れている実感はない」とどこかクールなまなざしで話す崎山に、自身の過去、現在地、そしてこれからを聞いた。
数々の話題作に出演も売れている実感は“一度もない”
人気2.5次元俳優・崎山つばさ。出演作品が絶えず、つねに注目を集め続ける崎山だが、実はデビューしたのは大学卒業後。若手俳優としては“遅咲き”の部類に入る。華やかな飛躍の裏で、悔しい経験をバネにしてきたと言う。「売れている実感はない」とどこかクールなまなざしで話す崎山に、自身の過去、現在地、そしてこれからを聞いた。(取材・構成=安藤かなみ)
――出演作品が絶えない崎山さんですが、役者を始めたきっかけを改めて教えてください。
「大学を卒業したら就職するつもりで、就職活動を始めました。そんな中、『どうしてみんな同じタイミングで将来のことを決めないといけないんだろう』と思うようになって、自分のやりたいことについて真剣に考えたんです。
高校生、大学生のときにやっていたエキストラや読者モデルが、小さい仕事ではありましたけど、楽しかった記憶があって。『自分がやりたいことはこれなのかも』と思ってからは思い切りハンドルを切って、みんなが企業にエントリーシートを送る中、僕は事務所に履歴書を送っていました。
当時はリクルートスーツも買いましたし、エントリーシートも書きました。だけど、そういう時間があったからこそ、自分と向き合う時間につながりました。僕は昔からアウェーなところで自分がどのくらいできるかを試したいと常に考えているので、その瞬間もそういう自分が働いたんだと思います」
――崎山さんがデビューした2014年ごろには、すでに「2.5次元舞台」が多数上演され、「2.5次元俳優」という存在が確立されていたように思います。大学卒業後の22歳という年齢でそこに飛び込む葛藤はなかったのでしょうか。
「25、26歳くらいまでは年齢に対するコンプレックスはかなりありました。周りはみんな年下なのに、『どうして自分は……』と悔しくなって、イヤになってしまう瞬間もありましたが、そのときに感じた『ここにいる全員を超えたい』という思いが今も原動力にもなっています。苦しんだこともありましたが、楽観主義でもあるので、それをどう自分のモチベーションに変えることができるのかを考えていました」
――今や若手俳優界では頭ひとつ抜けている存在に思えます。
「僕、何にもないんですよ。ダンスが踊れるわけでもないし、歌が歌えるわけでもない。1つとして武器がないので、なにか武器を作らないといけないと無我夢中になっていた期間が4、5年くらいありました。でも、武器は自ずとついてくるものだと今は思います。
例えば、ロールプレーイングゲームだとしたら、最初はなにも持っていなくても、どこか出会った場所で武器や防具を手に入れることができますよね。そう考えたときに、まず続けることがなによりも一番の武器になるんじゃないかなと思ったんです。20代後半でその思考になってからは楽になりましたね。
なにも持っていなくても、なにかが好きだったり、情熱だけで武器がある人に勝てる試合もありますし、全部で勝つことができなくても、得たものを次につなげればいい。負け試合でも、負けたことに意味があるので、『なにも得ずに負けることさえしなければ進んでいける』と思うようになりました。僕の場合はこのプラス思考で楽観的な性格が武器なのかもしれないです」