川上麻衣子、21歳から4台乗り継いだサーブは「相棒でした」 明かした車生活との“別れ”
「完璧にサーブが怒っているんだなと思いました。『オレを捨てたな』って」
30歳で買ったのが、シャンパンホワイトの「900カブリオレ」。ちょうど結婚する時で、運転が楽しめる車がいいなと。でも、仕事も忙しく、結局は送り迎えをしてもらって自分が後ろに乗ることの方が多かったです。サンルーフは、都内は渋滞が多くて一般の方に見られてしまうのも恥ずかしく、屋根を開けて運転することはほとんどなかったかな。
2003年、37歳の時に手に入れた「9-5エステート」。紺色に近いブルーグレーの車体で、最終的にはこの車が一番好きでした。運転しやすく、落ち着くこともできて、電気系統もかなり強化されて故障も少なく、あまり苦労することはなかったです。10年以上乗って走行距離も1万キロ以上でした。思い出深い車ですね。10年も乗っているといろいろ問題が出てきて修理するにも根本的にやる必要があって大変だということになって、次どうしようかなと思った頃にサーブ倒産の情報が入ってきて…。だったら、いったんマイカーを持つのはやめてみようかと思ったんです。2016年頃のことでした。
ものすごい愛着もあって、最後に車会社に引き渡す時に、駐車場に止めたエステートの座席で乾杯をしてお別れしました。その時にこんなことがありました。きれいにして渡そうと思い、トランクを開けて掃除をしていたら、どーんとバックドアが腰に落ちてきて。あっ、これは完璧にサーブが怒っているんだなと思いました。「オレを捨てたな」って。もう本当に彼氏みたいなものですね、恋人との別れみたいで、切なくてさびしかったな。車を買い替える時に、絶対にいま乗っている車の中で次の車の話をしちゃいけない、とよく言われますよね。そろそろ買い替えようかなと思うと、車は故障してしまうもの。車も分かって、すねちゃうんですよね。
実際に車生活をやめてみると、やめた当初は逆に電車生活がすごく面白く思えました。それまであまり電車に乗っていなかったので。いまは車に乗りたい時はレンタカーを借りて、たまに外車を借りてぜいたく感も楽しんでいます。
サーブとはどんな車だったのか。まさに北欧らしい車だと思います。アメ車のように「俺が俺が」と目立つわけではなく、おしゃれで個性的。自分が個性派と言われることが好きな人が乗る車だと思いますし、そういう人たちを満足させてくれる車です。私にとってサーブは相棒でした。いつもサブちゃん、サブちゃんと呼んで。それに、これまでの人生でずっと私の命を守ってくれたので、本当に本当に感謝しています。
□川上麻衣子(かわかみ・まいこ)1966年2月5日、スウェーデン・ストックホルム生まれ。1980年に女優デビューし、ドラマや映画などで活躍。現在は猫との共生社会実現の取り組みにも尽力しており、2018年に一般社団法人「ねこと今日(neko-to-kyo)」を設立。デザインガラス作品の制作もライフワークにしている。