ロシアへの経済制裁が国内マンション高騰に拍車 選手村跡地「晴海フラッグ」の現状
「当局が金融上の規制を入れるという過去の歴史もあります」
こうした中で注目を集めるのが、東京五輪・パラリンピックで選手村として利用された「晴海フラッグ(HARUMI FLAG)」だ。分譲マンションとしての販売は好調と聞こえてくるが、どうだろう。分譲3棟のうち「PARK VILLAGE」と周辺マンションについて同社が比較検討した。販売開始となった2019年の時点で「坪単価390~400万」のところ、周辺の勝どき・豊洲・浜松町・東雲といったエリアの10年や15年の新築当時の価格と比べると、「晴海フラッグは周辺より2、3割安い」という結果が出た。さらに「周辺エリアが『中古』と分類される現在の価格と比べても、同等の価格帯になっている」という。
天野氏はメリット・デメリットを総合勘案。「晴海フラッグは周辺より2、3割安い価格で、基本的には85平米以上の家族向けの大きな部屋である。さらに、今後10年、20年で晴海地域は不動産価格が2割ほど高くなる可能性もあります」という利点を示した。一方で、「最寄り駅からの距離を考えると、徒歩15~20分というのは周辺エリアに比べて遠いことは否めません。また、埋立地特有の災害リスク、近くに清掃工場があること。投資の観点では、月額管理費3.5~4万円は高めの設定であり、利回りを計算すると約4%であることから、気になる人もいるかもしれません」と指摘する。
同社は、今後2、3年のマンション価格の高騰を予想。池上氏は「マクロ環境は明らかに高くなる方向にいっています。もし下がる方向にいくとしたら、日銀が利回りを上げる政策を取った場合が考えられます。ただ、現状を見ていると、しばらくは上げなさそうな見込みです。そうすると、円安が進んでいき、ますます建材は高くなるでしょう。住宅・土地価格が上がり過ぎると、当局が金融上の規制を入れるという過去の歴史もあります。バブル期は『総量規制』という行政指導が行われました。当局の規制、政治的な動きは注目点です。このまま住宅価格が上がり続ければ、いつかはそういった動きが出てくるかもしれないので、注視が必要です」と話している。
□池上俊介、慶應義塾大総合政策学部卒。自然言語処理を用いたツイッター分析や、自動文章生成を行うAI記者などの開発を行う。2019年にビッグデータ、AI技術を用いた魅力ある不動産業を目指してエステートテクノロジーズを設立。創業メンバーで取締役CTO。
□天野沙耶香、大学卒業後、約10年不動産賃貸・売買会社で勤務後、ビックデータやAI価格査定に興味を持ち、20年5月、エステートテクノロジーズ入社。不動産売買の営業補助、開発のテスター、IR事業、広報、ブログ執筆などに従事。資格は宅地建物取引士とFP。