クイズ王・伊沢拓司、原点は20年前の日韓W杯 「QuizKnock」が伝える“知ることの楽しさ”

「伝える」ことについて語ったQuizKnock【写真:山口比佐夫】
「伝える」ことについて語ったQuizKnock【写真:山口比佐夫】

「自分の意見を持って、それを相手に伝えることが大事です」

 同作は、QuizKnockのメンバーそれぞれが体験した「知ることが楽しいというループ」を通し、「考えることの楽しさを伝える」をコンセプトにしている。「5+3=8」のように回答が明確なものではなく、須貝は「答えが出ない問題を考えてほしい」と願った。

 須貝「最初は直感でいいので、『ヒーローは、どうして悪者を殴っていいのかな?』と友だちや親子一緒に考えてほしいです。答えが出たら、『どうしてそう思ったのか』を相手に伝えてみる。2人が同じ答えになった時は、お互いに逆の意見を出してみてほしい。相手の意見を否定せずに、『なぜそう思うのか?』とお互いの考えを知ることで、見えていなかったものが見えてくるはずです」

 こうちゃんも、「伝える」ことの大切さを説明した。

 こうちゃん「自分の意見を持って、それを相手に伝えることが大事です。この書籍の中では、『他人になって考える』『他の国、地域で考える』『時代を変えてみる』などいくつかの提案をしています」

 QuizKnockのコンセプト「楽しいから始まる学び」が確立されたのは、開設2年の2018年だった。当時、小学生と向き合っていた伊沢は実感を込めて言った。

 伊沢「これは主観でしかないのですが、僕らの子ども時代に比べると、今の子の方が人の意見を受け入れる力がある。多様性に柔軟に対応できています。さまざまな立場、状況を想像することは、自分とは違う人間がいるということを知ることです。知ることが、他人の立場に立つ上での第一歩であるはずです。人との交流やメディアを通して様々な他人を知り、できれば対話することで早い段階から多様性を当たり前のものだと思えるようになるべきでしょう」

 頻繁に更新しているQuizKnock のYouTubeチャンネルは、更新後に毎回反省会を行っている。始まりはサッカーや野球、漢字にクイズだった子どもたちが、「好き」をきっかけに、考えを巡らせ、大人になった今も「好き」と「知りたい」のループを続けている。自分だけの「好き」が、未来を育む力につながっていく。

□QuizKnock(クイズノック) QuizKnock(クイズノック)は、東大クイズ王・伊沢拓司が中心となって運営する、エンタメと知を融合させたメディア。「楽しいから始まる学び」をコンセプトに、何かを「知る」きっかけとなるような記事や動画を毎日発信中。YouTube(https://www.youtube.com/c/QuizKnock)チャンネル登録者は184万人を突破。(22年3月時点)

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