能楽師・野村萬斎が“一番大切にしていること”「生きている実感を思っていただきたい」
能楽師の野村萬斎が30日、都内で行われた「第43回松尾芸能賞贈呈式」に登壇。同賞で大賞を受賞し、喜びの声を上げた。萬斎は狂言を軸として各ジャンルにまたがる幅広い業績が評価された。
野村萬斎が語る芸に対しての苦労
能楽師の野村萬斎が30日、都内で行われた「第43回松尾芸能賞贈呈式」に登壇。同賞で大賞を受賞し、喜びの声を上げた。萬斎は狂言を軸として各ジャンルにまたがる幅広い業績が評価された。
萬斎は「身に余る大賞を頂戴し本当にありがとうございます。日本にいろんな文化がある中で、能狂言というのはなかなかと思いつつ、いろいろな活動をさせていただきました。特に、世田谷パブリックシアターの芸術監督が評価されたのがうれしいです」と心境を明かした。
また萬斎は「能狂言というジャンルは現代とは違うんで、共通語を探るのが苦労するんですね。そういうところを埋めるというか、お互いがわかり合えて、あうんの呼吸ができると充実感がわきますね」と芸に対しての苦労を明かしていた。
MCから「一番大切にしているのはなんですか」と聞かれた萬斎は「ライブを中心にしているので、生きている人間としてのコミュニケーションを一番大切にしたいと思っています。生きている実感をお客様に思っていただきたい。一緒に盛り上がってね。人間としての発露を感じていただきたい。それが返ってくると、役者というのは単純なので、ますます乗るんですね。なにかコミュニケーションが成り立つところに醍醐味(だいごみ)があるような気がします」と丁寧に答えていた。さらに萬斎は「最近は、劇作をしながらキャスターをやる人もいるらしいと聞くんで僕も負けられないなと思いますね」と話し、笑いを誘っていた。
1980年に創設された松尾芸能賞は、日本の芸能の保存・向上に寄与した人物に与えられる芸能賞。過去には、故・藤山寛美さん、故・橋田寿賀子さん、故・森光子さんらが大賞を受賞している。
ほか、優秀賞には菊原光治(邦楽)、春風亭小朝(落語)、シルビア・グラブ (演劇)、尾上菊之丞(舞踊)。新人賞には坂東巳之助(演劇)、特別賞には伊東四朗(演劇)、功労賞には坂東竹三郎(演劇)が受賞した。