AKB48・山根涼羽が挑んだ“学び直し” 19歳で高校再入学、アイドルとの両立に悩んだ1年半
“学び直し”という言葉をここ数年で耳にする機会が増えてきたが、現役アイドルを続けながらも“学び直し”に挑戦した21歳がいる。「AKB48」で活動する山根涼羽だ。3月4日に自身のSNSで突然、「この度21歳ではありますが高校を卒業することができました」と発表。なぜ高校再入学を決意したのか、卒業した今、何を思うのか。本人に胸の内を聞いた。
AKB48に入るために全てを捧げた学生生活「中学生の頃からAKB48になりたかった」
“学び直し”という言葉をここ数年で耳にする機会が増えてきたが、現役アイドルを続けながらも“学び直し”に挑戦した21歳がいる。「AKB48」で活動する山根涼羽だ。3月4日に自身のSNSで突然、「この度21歳ではありますが高校を卒業することができました」と発表。なぜ高校再入学を決意したのか、卒業した今、何を思うのか。本人に胸の内を聞いた。(取材・文=中村彰洋)
兵庫県出身の山根は、13歳で「AKB48チーム8 全国一斉オーディション」(2014年)へ応募するも最終審査で不合格。14歳では「第2回AKB48グループ ドラフト会議」(15年)に再挑戦。指名候補者まで残るも最後まで名前を呼ばれることはなかった。そして、そこから約1年後に行われた「AKB48第16期生オーディション」(16年)で見事に合格。「AKB48になる」という夢を勝ち取った。
当時は地元の高校に通っていたが、進学した理由も“AKB48に入るため”だった。
「中学生の頃からAKB48になりたかったので、東京でオーディションがあったときの交通費などを自分で出せるように、バイトができる高校を選ぼうと考えて決めたのが、その高校でした」
実際に入学から1年たたずにAKB48への加入が決まり、16歳という若さにして単身で上京。当時は学業について考える余裕はなかった。
「加入当時はすごい忙しくて、引っ越しの手続きだけでも大変で、学校の手続きをする余裕はありませんでした。16歳で1人で東京に出てきて、初めての1人での生活。学業とAKB48の活動を両立できる自信もありませんでした。兵庫県の高校には在籍したままだったので、帰省するたびに通学はしていましたが、単位が足りなかったので退学になっちゃいました」
その後は、アイドル活動にまい進する日々だったが、心のどこかで“中卒”という言葉に引っかかりを感じていた。その気持ちがコロナ禍をきっかけにあふれた。
「コロナ禍に入って、自分の将来を考えたときに、すごい不安になって……。泣きながらお母さんに電話をしていましたね。その中で“高卒資格”があったら、将来が動きやすくなるんじゃないかなと思い決断しました」
“高卒認定”ではなく、“高卒資格”を選択したのも母親からの後押しだった。20歳まで残り1か月を切った19歳での再入学決断。周りの同級生は17歳や18歳、その中に飛び込むことへの不安ももちろんあった。加えて、学費も自分で払っての挑戦。貯金を切り崩すほどに、山根の意思は固かった。
過去の高校生活で取得した単位もあったため、20年7月に入学し、22年3月には卒業と約1年半の高校生活。アイドルと両立しながらの1年半は短いようで長かった。
「コンサート期間と学校のテスト期間が重なっていたときがすごく大変でした。約2週間で30曲弱くらい振りを覚えないといけなくて、学校ではテストを受けなければいけない。1曲リハーサルをして、間の1時間半でカフェに行って勉強、次の1時間でまたレッスン、みたいな状況で身も心も削られていました。休みもほぼなくて、自分的にはハードでした」