髪型で「人の人生を変える」大宮美容師HAYATOさん。TikTokやインスタグラムで劇的イメチェンカットを公開し、最高490万再生数を記録するなど、人気を博している。大好評の「大変身カット」をなぜ始めたのか。そこには新型コロナウイルス禍ならでは経営者として下した判断があった。（取材・文＝島田将斗）

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　きっかけは2020年、HAYATOさんが自身の美容室をオープンさせたころだった。「店を独立したときがコロナの1発目にかぶってしまったんです。元々、女性のお客さまが多くて、男女比でいったら女性が多い美容室としてそれまでやっていました」。

　パンデミックは飲食店だけでなく、美容業界にまで及んだ。「緊急事態宣言が出たときに女性のお客さまの来店周期が遅くなりました。でも、常連の男性は月1ぐらいで訪れてくれていて、そうなったときに女性をメインターゲットにして続けることが難しいのかなとなりました」と当時を振り返る。

　意外な理由を明かした。「ターゲットをコロナ禍でも来店して下さる男性に切り替えようと思って、SNSの発信の仕方を変えたというところがきっかけです。自分の店を守るためにというのがありました」。

　方向転換をして、すぐに“バズる”ものなのだろうか。投稿を始めたきっかけも打ち明けた。

「元々は、始めるより1年以上前に変身の動画を過去にインスタグラムであげていました。それがツイッター上に無断転載されて、バズっていました（笑）。僕の知らないところで『2ちゃんねる』などでも取り上げられたりしていて、そういうのを思い出して。過去にやっていたものがバズっていたからあれをもう1回やってみようと投稿を始めました」

　社員を守るためにスタートした「大変身カット」。今では他の同業者もまねをするような人気コンテンツになっている。HAYATOさんは、SNS時代の今だからこそみなにチャンスがあると考える。

「（他の美容師さんも）まねしてくれて構わないです。僕は、昔は原宿とか青山で美容師をやりたいという思いがありましたが、いざ自分が就職したのは埼玉でした。当時って有名店に入れないと有名になれないというのがあったと思います。芸能人が来る美容室や業界とパイプがつながっている所に入ると有名になれるというのがありました」

　その上で「でも今はSNSがある。“東京”じゃない美容師たちが自分の力で目立てるという時代になっていると思います。せっかくチャンスがSNSにあるので、みんなガンガンやればいいなって思います」と同業者にもメッセージを送った。

　初めて会う人の人生を一変させるコツなどはあるのだろうか。

「髪の毛を切った後、美容室から帰る瞬間だけかっこよくても意味がない。その人たちが次の日から自分でもセットなどできないと意味がないんですよ。変わりたいという気持ちで来てくれる人たちって今まで髪の毛に興味がなかった人が多いので、『次の日からスタイリングがしやすくなる髪型』を意識しています」と口調に熱が帯びる。

「そしてもうひとつ、他人に褒められるカットも意識しています。来店してくれる方のなかには自分に自信がない人もいて、髪型がカッコよくなって肯定的な意見が増えるとその人の自信にもつながる。自分でカッコいいと思うよりも周りからカッコよくなったねって言われた方がその人の自信につながると思うんです」