日本にも徐々に浸透 欧米で話題の大麻由来成分「CBD」のメリット、デメリットは

ここ数年、日本でも徐々に知られるようになってきた大麻草に含まれる大麻成分の「CBD(カンナビジオール)」。一方、国内では大麻に対する忌避感も根強く、市場拡大や法整備が追いついていないのが現状だ。CBDとはどういったものなのか。そして、今後どのような市場を形成していくのか。医薬学博士で一般社団法人抗酸化研究所所長の山口琢児氏に聞いた。

麻の葉(写真はイメージ)【写真:写真AC】
麻の葉(写真はイメージ)【写真:写真AC】

リラックス効果や抗酸化作用、鎮痛作用が期待される大麻由来の天然成分

 ここ数年、日本でも徐々に知られるようになってきた大麻草に含まれる大麻成分の「CBD(カンナビジオール)」。一方、国内では大麻に対する忌避感も根強く、市場拡大や法整備が追いついていないのが現状だ。CBDとはどういったものなのか。そして、今後どのような市場を形成していくのか。医薬学博士で一般社団法人抗酸化研究所所長の山口琢児氏に聞いた。

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 CBDは、成熟した大麻の茎や種子から抽出される天然成分。主に大麻の花穂や葉に含まれ向精神作用を及ぼすTHC(テトラヒドロカンナビノール)に対し、リラックス効果や抗酸化作用、鎮痛作用が期待され、抗てんかん薬として臨床応用されている。国内でもネット販売の他、大手総合ディスカウントストアでも、経口摂取用のオイルや電子タバコで使用できるリキッドなどが販売されている。

「そもそも、大麻の有害性や依存性はアルコールや煙草と比べても高くはありません。日本でも大麻の歴史は古く、厚生労働省が定めた医薬品の規格基準書である日本薬局方でも、1951年までは鎮痛剤や麻酔薬として使われていました。CBDは国際的なドーピング対象からも外されており、医学や健康増進などの観点から注目されています」

 現在はファッションや嗜好品としてのイメージも強いCBDだが、健康食品や化粧品成分としての活用も進んでいる。健康増進にはどのような効果があるのか。

「CBDなどの植物カンナビノイドと同様な作用を示す物質が体内で作られているものもあり、これをエンド(内因性)カンナビノイドといいます。人体にはエンドカンナビノイドシステムがあり加齢やストレスでこのバランスが崩れると、体の不調につながる。体のバランスを崩したとき、あるいはその前に摂取することで、予防効果が見込まれます。抗酸化作用があり、将来的には老化やガンの防止などにも期待が持てます。現状、身近なもので分かりやすくたとえると、サプリメントのようなイメージですね」

 現在、国内では食品や雑貨という扱いとなっているが、元は大麻を原料とするCBD製品。摘発される可能性や摂取のしすぎで生じる副作用はないのだろうか。

「結論から言うと、管理がずさんな海外製のCBD製品で、THCフリーをうたっていながらTHC成分が含まれており、摘発された例は実際にあります。素人が見分けることは困難なので、これは販売元の説明責任が大きい。信頼できる企業、ブランドのものを使用することが大切です。CBDの副作用についてはまだ十分な臨床試験が進んでいませんが、どんなものにも最適な用法用量がある。一定値を超えると、効果が見込めなかったり、逆効果の例もあります。臨床研究や法整備を進めることが肝心ですが、反面、研究費が下りづらいというジレンマもあります」

 スポーツ科学や医学、美容や健康などの分野でも活用が期待されるCBD。大麻由来でありながらもクリーンなイメージを浸透させることが、今後市場に求められる課題となっている。

次のページへ (2/2) 【表】薬物の相対的な有害性のグラフ
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