ウクライナから日本まで過酷な2週間の道のり 英語も話せない母を迎えた娘の思いとは

民族楽器「バンドゥーラ」奏者のカテリーナさん【写真:ENCOUNT編集部】
民族楽器「バンドゥーラ」奏者のカテリーナさん【写真:ENCOUNT編集部】

チケットは高騰、3年前の数倍になっているケースも

 ウクライナの人々の国外退避には課題はまだありそうだ。

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「母は日本に入国する際、入国審査でしょうか、『何日間、日本に滞在する予定か』などいろいろ聞かれたようです。母は日本語も英語も話せません。滞在先の住所を書く場面ではパニックになったようです。代わりに私が電話で担当の方に伝えました。ウクライナの年配者は、日本語はもちろん英語を話せる人は少ないです。ウクライナから避難してくる人のために、空港内での手続きの場などに、ウクライナ語の通訳のスタッフの方を配置していただけたらありがたいなと思います」

 飛行機のチケットの状況も聞いてみた。

「ウクライナから海外に避難する飛行機のチケットは受け入れる国にいる家族や友人、知人が買って送ってあげないとなりません。価格が高騰しているようです。ポーランドから日本まで3年前の数倍になっているケースもあるようです」

 新型コロナウイルスの影響はどうか。

「ウクライナでワクチン接種を受けても証明書はがれきの下。ウクライナを出て違う国に入国するのですからPCR検査を受けないとなりません。ポーランドでは数万円かかったそうです。避難してくる人は地獄から逃げてくる人。体力的にも精神的にも大変な状態です。優しくしてほしい」

「優しく」という言葉が気になり、母・マリヤさんの様子を聞いた。

「これから母をリハビリしていかないとなりません。普通に話していて、いきなり泣き出したりしています。寝ていても落ちつかず、泣きながら『怖い。怖い』と言っています。日本の病院で母を診てもらうにはどうしたらいいのか」

 母国にいる人たちへの思いも聞いた。

「無事でいることを祈ることしかできません。言葉は通じなくても、私は音楽が国境を越える力を持っていると信じています。バンドゥーラというウクライナの伝統楽器を弾きながら歌い、世界中の皆さんの平和を祈りたいです」

 バンドゥーラを作る工場はウクライナでも2つしかない。その工場が今どうなっているか分からないという。母国の伝統楽器の存続危機にテリーナさんは「将来、日本の技術でこの楽器を作れたらいい」と祈るように語った。

次のページへ (3/3) 【写真】民族楽器を手に母の様子を語るカテリーナさん
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