【週末は女子プロレス#41】スターダムの看板レスラー“ビッグダディ三女”林下詩美 両国で目指す白ベルト奪取
「私が白を取ったら、赤も超えるようなベルトにできます」
そして20年11月15日、仙台でのビッグマッチにおいて詩美は5★STAR GP初優勝の実績をひっさげ、岩谷に挑戦。スターダム一期生の岩谷を破り、ついに赤いベルトを自身の腰に巻いてみせた。以来、最高峰王座を守り抜くこと9回。戴冠当初は3・3日本武道館大会のメインを髪切りマッチに奪われるなど、セミファイナルに格下げされるケースもあったが、試合内容で信頼を得続け、6・13大田区総合体育館での朱里戦によってそのステイタスは決定的になったと言っていい。詩美政権はそのままビッグマッチ路線の拡大につながり、10・9大阪城ホールでの彩羽匠、11・3川崎とどろきアリーナでの葉月、11・27代々木第2体育館での舞華、12・29両国での朱里と、すべてが問答無用のメインイベント。赤を受け継いだ現王者・朱里もタイトル戦のビッグマッチメインを継続させている(3・26両国で朱里vsジュリア、3・27両国で初日の勝者に岩谷が挑戦)。
赤から陥落後、詩美はシングル戦線から遠ざかっていた。しかしながら、年末に白を初戴冠した上谷が両国2連戦の相手に同門の詩美と師匠の中野たむを指名。詩美が応じたことで、まさかの白挑戦となったのである。ではなぜ、詩美は赤奪回ではなく白を取りにいく気になったのか。
「まさか同門のパートナーから指名される側になるとは思っていませんでした。が、覚悟を持っての指名だと思うので、こちらとしては最大限の礼儀として、全力で取りにいこうと思います。名指しされたというのもありますが、いずれは白も取りにいこうとは考えていたんですよ。白はまだ取ったことがないし、スターダムのベルトを全部取りたいですからね。正直、赤をなくしたショックはありました。でもその後は、ある意味プレッシャーから解放されて自由に闘っていた感じもあったんです。それでもやっぱり、林下詩美はシングルが好きなんですよ。もちろん、赤が1番だと信じていますが、私が白を取ったら、赤も超えるようなベルトにできますよ」
昨年3・3日本武道館では詩美が赤の王者で上谷が初挑戦。当時は実績で劣る上谷のチャレンジに賛否両論あったが、あれから1年が経過し、今度は立場とベルトを代えての再戦となる。上谷は前回の防衛戦、2・23長岡でのビッグマッチを勝利し、メインを立派に締めてみせた。それだけに機が熟しての一騎打ちとなりそうだが、詩美からは余裕さえうかがえるコメントが……。
「いまの上谷はまだまだ白いベルトに引っ張られていると思います。上谷に足りないのはチャンピオンらしさ。ベルトに上げられてる、上谷がベルトについていってる感じがしますね。まあ、私が赤いベルトを取ったばかりの頃に似ているんですが。そんな状態では全然、まだまだ私には勝てないです」
詩美が2日間を勝ち抜け、新しいタイプの白い王者としてスタートを切るのか。その場合、赤いベルトとの対比もいままで以上に注目されることとなるだろう。
「(詩美が持つ前から)赤が最高峰ではあったと思うんですけど、私が何段階も格上げしたと自信を持って言えます。ただ、白はまだ私が感じたことのないベルト。白のベルトを持った林下詩美がどんなものになるのか、私自身、すごく興味があるんですよ」
赤白ともに行方が見逃せない両国2連戦。2日間終わった時点での詩美の立ち位置が、アフター両国の方向性を左右する!?