皇治の倒されない美学、KO負けは49戦でたった1度 「倒れる意味が分からない」と語るワケ
20日に行われる「湘南美容クリニック presents RIZIN.34」でセミファイナルに登場する皇治。ファイトスタイルには“打たれ強い”のひとことではすまされない深いワケがあった。どんな思いでリングに上がっているのか、公開練習後の皇治に話を聞いた。
「命をかけてリングに上がる」の意味
20日に行われる「湘南美容クリニック presents RIZIN.34」でセミファイナルに登場する皇治。ファイトスタイルには“打たれ強い”のひとことではすまされない深いワケがあった。どんな思いでリングに上がっているのか、公開練習後の皇治に話を聞いた。(取材・文=島田将斗)
「俺は意識か命が絶つまでリングに倒れることはない」
こう語る口調は力強い。キックボクシングで49戦、黒星は17あるが、KO負けは11年前の1度だけ。K-1参戦の前だ。武尊にも那須川天心にも、敗れたが最後まで戦い抜いた。原動力はどこにあるのだろうか。
皇治は「俺には、仲間とか大切な人とかたくさんいてるんで。その人たちが応援してくれているのに倒れる意味が分からない。どこどこが折れたから試合ができひんとか、そういう意味が俺には全く分からなくて」と信念を明かした。
今でも忘れられない瞬間がある。昨年6月に行われた「RIZIN KICKワンナイトトーナメント」1回戦での梅野源治戦だ。わずか1Rで皇治のバッティングにより梅野は鼻を骨折し、ドクターストップを余儀なくされた。
「梅野選手は自分で折れた折れたって言っていた。それをよく覚えていて、(自分から)折れたって言うことは、もう試合ができないって言っていることと一緒」。
さらにこう続ける。「俺はもう全く目ん玉が見えんくても、見えないって言ったことないです。何が正解かは分からないですけれど、命をかけてリングに上がるというのはそういうことだと思います」。
心が折れそうな瞬間もある。「リングの上だけでなく、練習中もほんまに嫌ですし。毎日ぐうたらしていたい。“冬眠”して金入ってくるのが1番楽だと思いますよ」と本音を漏らす。
それでも「漢(おとこ)としてそれはカッコ悪いですし。リングの上でもほんまにみんなの顔を思い浮かべます。みんながいてくれてるから俺は倒れられへんっていうのはもちろんあります。孤独とかいつもカッコつけて言ってますけれど」と笑った。