「情熱大陸」で話題 “世界のHARA”のワイルドすぎる幼少期「へその緒切ったのは父」
「激レアさんを連れてきた。」「情熱大陸」で話題になり、Newsweek誌「世界が尊敬する日本人100」に選出されたイリュージョニスト、HARA(31)の半生が小説になった。「マジックに出会って ぼくは生まれた-野生のマジシャン HARA物語-」(涌井学、小学館)で、HARAが独学と自作の小道具でマジックを習得し、世界大会でグランプリになるまでを描く。
小説「マジックに出会って ぼくは生まれた-野生のマジシャン HARA物語-」出版
「激レアさんを連れてきた。」「情熱大陸」で話題になり、Newsweek誌「世界が尊敬する日本人100」に選出されたイリュージョニスト、HARA(31)の半生が小説になった。「マジックに出会って ぼくは生まれた-野生のマジシャン HARA物語-」(涌井学、小学館)で、HARAが独学と自作の小道具でマジックを習得し、世界大会でグランプリになるまでを描く。(取材・文=平辻哲也)
プロジェクションマッピングやホログラム演出のアドバイザーとして、国内外の舞台やライブなどの演出を務め、世界から注目を浴びるイリュージョニストのHARA。自らの半生を描いた小説には自画自賛の嵐だ。
「新幹線でゲラを読んで、泣いちゃいました。何もない山の中で育った少年が紆余曲折を経て、ラスベガスの世界大会に挑む。みなさんも何かに打ち込んだ経験があるはずなので、感動していただけるんじゃないですかね。僕自身も読んで、清らかな気持ちになりました」と笑う。
確かに、その経歴は唯一無二。その半生にはまさにイリュージョンが散りばめられている。生まれたのは奈良県の山深い十津川村。「一番近いコンビニは車で1時間。インターネットはないし、ケータイは圏外。お風呂は薪風呂で、森と山と川しかない環境で幼少期をずっと過ごしました」。
今では、話のネタにしているが、こんな生活を強いた父を恨んだこともあったと明かす。「無農薬の米、野菜を育てて、自給自足するのが我が家のスタンス。学校よりも農作業が大事で、田植えや稲刈の時は強制的に学校を休ませられる。なんで自分だけと思って、親父と口をきかない時期がありました」。
その両親のなれ初めも、HARAの経歴以上にすごい。
「父も母も町の生まれ。父は川崎で生まれ、横浜国大の教育学部を退学して、インドへ放浪の旅に出たんです。その後、アメリカの山奥で自然農法を学びながら、ヒッピーみたいな暮らしをしていた。そんな中、サンフランシスコに留学していた母がハイキングで親父に出会って、その2週間後、トラックで買い出しに来た親父が、歩いている母を見つけて、山に連れていったんだそうです。母もそのコミュニティーが気に入って、一番上の兄は山で生まれました。その後、奈良で住み始めるんですけど、僕ら4人兄弟は全員自宅出産。母から出てきた僕らのへその緒を親父が切っているんです」
そんなHARAがマジックに出会ったのは5歳の時。「母に連れられた井の頭公園(東京)でピエロのマジックを見たのが初めてでした。裏山の木を取ってきて、見様見真似でマジックのステッキを作ったりしました。小2の時、好きな女の子へのアピールを込めて、学芸会でマジックをやったら、その子がすごい喜んでくれ、これを一生の仕事にしていきたいと思ったんです」。