山手線・物件人気が堅調の理由 “南北”で起きた家賃相場の変化、専門家に聞いた

今後の再開発“要チェック”は「品川、高輪ゲートウェイ、田町」

 気になるのが、22年版1位の「高田馬場」だ。20年版の7位、21年版の5位から急上昇。上位10駅の中で唯一の相場が下がった駅(21年から2000円減)でもある。

 ただ、最新ランキングは1~10位は6000円以内でひしめき合っている事情があり、理由は一概には言えないが、笠松氏は「高田馬場は新宿、池袋のターミナル駅に近く利便性が高い。早稲田大学が代名詞であるように学生街としても知られています。近年は、中国からの学生を中心とした留学生も多く住むようになり、外国人学生向けの塾や多国籍料理店が増えたと聞いています。若い人の流入がより増え、家賃の割安感と注目度が高まっています」と話す。

 また、笠松氏はポイントに、一時は「消滅可能性都市」とも言われたが解消に向けた改革が奏功している「豊島区」を挙げた。筆頭の池袋は、南口に続き西口の公園がリニューアル。東口の池袋サンシャインシティ周辺の再開発も進んでおり、「演劇やアニメなど文化を軸とした新たな発信をしており、山手線駅の中で最も新陳代謝が行われている」と分析。同じく豊島区の大塚については駅ビルのリニューアルや星野リゾートによるマイクロツーリズムに特化した都市型観光ホテル、横丁タイプの飲食店といった商業施設が登場。「最新のデザインだけでなく、もともとあった大塚のレトロ感も生かしたリノベーションで独自のイメージ」を打ち出し、魅力が際立っているという。

 家賃相場にも深く関わる山手線沿線の再開発はどうなるのか。笠松氏が見据えるのは、「品川、高輪ゲートウェイ、田町」だ。大丸有と呼ばれる東京駅から丸の内、有楽町にかけてのエリアと共に、品川・田町間の再開発に着目。「国際会議にも対応するビジネス支援施設や外国人向け住居なども予定されており、国際ビジネス・観光拠点の形成を目指しています。コロナ禍の状況を見ながらですが、今後の日本の玄関口として整備が進む予定です。それに、高輪ゲートウェイは新駅設置の話が出た時点から家賃相場・中古市場が上昇しました。周辺には複数のタワーマンションの建設計画もあり、今後は人口増加が見込まれます」と説明する。

 山手線沿線の人気は堅調の見通しで、「共働き世代にとって、夫婦それぞれ通勤に便利な山手線の需要は高いです。それに東京全体の再開発の中で、山手線の駅ビルはリニューアルによって充実化が進んでおり、通勤途中で生活や買い物の用事が済むほど便利さが増しています」と笠松氏。ランキングの推移にもさらなる話題が集まりそうだ。

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