山手線・物件人気が堅調の理由 “南北”で起きた家賃相場の変化、専門家に聞いた

春の新生活に向けて住宅事情に注目が集まる中で、JR山手線の家賃相場について興味深いデータが浮かび上がった。「山手線沿線内での価格差が狭まっている」というのだ。家賃が安い駅としては「高田馬場」が急上昇し1位に。不動産サイト「SUUMO」副編集長を務める笠松美香氏に最新事情を取材した。

山手線“最安値”の家賃をマークした高田馬場駅【写真:ENCOUNT編集部】
山手線“最安値”の家賃をマークした高田馬場駅【写真:ENCOUNT編集部】

「JR山手線30駅」調査 “最高値”は原宿で「13.55万円」、次は恵比寿で「12.2万円」

 春の新生活に向けて住宅事情に注目が集まる中で、JR山手線の家賃相場について興味深いデータが浮かび上がった。「山手線沿線内での価格差が狭まっている」というのだ。家賃が安い駅としては「高田馬場」が急上昇し1位に。不動産サイト「SUUMO」副編集長を務める笠松美香氏に最新事情を取材した。(取材・文=吉原知也)

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 このほど発表となったSUUMO「JR山手線30駅の家賃相場が安い駅ランキング 2022年版」。1位は「高田馬場」(新宿区)で「8.6万円」、2位は「田端」(北区)と「西日暮里」(荒川区)が同額で「8.7万円」、4位は「目白」(豊島区)で「8.8万円」、5位も同額で「大塚」(同)と「池袋」(同)が「8.95万円」と続く。一方で、家賃相場が高いことを示す30位は「原宿」(渋谷区)で「13.55万円」、29位は「恵比寿」(同)で「12.2万円」、28位は「渋谷」(同)で「12.1万円」だ。

 調査対象は駅徒歩15分以内、ワンルーム・1K・1DKの物件。2021年10月~同年12月までの期間に掲載されたもの。

 同調査は、昨年21年版と比べると、「上位駅グループ(家賃相場が安い駅)の家賃相場が上昇。しかし、13位の有楽町駅(10万円)が2.5万円下落したのを筆頭に、下位グループ(家賃相場が高い駅)に限定すると、半数近くが下落。山手線沿線内での価格差は狭まっているようだ」としている。

 笠松氏によると、山手線沿線の物件は「利便性が高く、全国的にも知名度があり、もともと人気である」ことに加え、東京の家賃相場は一般的に「『西高東低』と言われている」という特有の不動産事情がある。そのうえで、円形の環状路線となっている山手線を南北に分けて考えると、「家賃相場はもともと割安の北側が上がっており、もともと高い南側が下がっている」という傾向があることを指摘した。確かに、今回のランキングで上位トップ5(6駅)はすべて「山手線の北側」に位置する。

「山手線の南側であり、東京全体では西側でもある渋谷、品川、新宿、山手線の北側である池袋も含めて、極めて利便性の高いターミナル駅です。もともと人気と家賃相場が高い状態にあり、西日本や甲信越から東京に出てくる人にとっては言わば玄関口です。一方で、新型コロナウイルス禍などにより、東京への転入数は減っており、山手線の人気駅に転入して住む人も抑制されているのかもしれません」と笠松氏。家賃相場が高い駅群である「下位グループ」=「山手線の南側」の下落傾向について、1つの仮説を提示した。

 一方、「山手線の北側」は「南側に比べてこれまでは割安感がありましたが、その手頃さがいよいよ注目を集めてきたのではないか」とのことだ。

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