野球未経験の高橋優が“応援ソング”でファンの心を動かすワケ「歌もある意味スポーツ」

大人になるほど忘れがちなものこそ見逃してはいけないと語る【写真:塩見徹】
大人になるほど忘れがちなものこそ見逃してはいけないと語る【写真:塩見徹】

「HIGH FIVE」の歌詞からひも解く重要なキーワード「手応え」

 高橋自身、路上ライブからスタートして、メジャーデビューまでの長い道のり、さらにデビューから12年目という時間の中で自分らしさという「心・技・体」を磨き続けてきた。

「あくまでも僕の想像の領域なので、実際にオリンピックに出場されるような皆さんの気持ちなんて僕には到底計り知ることなんてできません。ただ僕自身、目指す到達点に達したいと思って音楽をやっているので『もうちょっといけるぞ!』っていう、そんな感覚はもしかしたら似ているんじゃないのかなと」

 今作の歌詞を少し引用させてもらおう。1番目に出てくる「恥かくとこなんて死んでも見せないヒーローになりたかったけど 倒れてきたハリボテ、突き破り立って 渾身のファイティンポーズ」という言葉には理想とは程遠い現実の自分を受け入れて自分らしさを磨き、貫いていく姿勢が描かれており、「栄光は君と出会えたこと」では高橋が常々大切にしている人との出会いが自分を変えていくことについて説いており、「とても小さな たわいないような 手応えが光に変わっていく」にはささいなチャンスも見逃さない大切さがつづられている。

 高橋は今作の歌詞の中で重要なポイントを挙げた。

「その『とても小さな たわいもないよな…』という歌詞を引用していただきましたが、あの(とても小さな)手応えって普段の生活の中で見逃してしまうと分からないことだったりするんです。人って何かをやろうとした時、大人になればなるほど全力でやらなくても2、3割くらいの力で済むことが多くなってきますよね。でも思い出してみてください。

 中学校や高校の頃、もっと一日一日をめちゃくちゃ一生懸命生きて、いつも体も頭も疲れちゃうんだけど、そこに手応えを感じながら『よし! やった!』って。授業でも部活でもメシでも何でも良くて。そこに手応えを感じながら生きてきた気がするんです。そんな手応えこそ大切で、それを意識している人ほど到達する先が見えているんじゃないのかなって。

 その手応えが分からなくなっちゃうと、周りが良いと言っている方向につい流されて何が成功かという答えさえ分からなくなってしまう。今まで自分の中にあった一番幸せだったはずの手応えを一度手放してしまうと、なかなか手元には戻ってこないんですよね」

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