【RIZIN】「腕十字は取らせない」 中村大介とのUWF継承マッチを前に“Uの子孫”山本空良が激白
「足関(節技)でいこうかと思っています」
振り返ると山本が格闘技をはじめたのは小学校5年生のこと。「その頃はゲームが好きだったから、プログラミングとか勉強したいなあと思っていました」という。それから21歳の今まで、山本会長の下で研鑽を積んできたが、その間に最もツラかったことは、と尋ねると、親子ならではのエピソードを語ってくれた。
「中学2年生のとき、会長が自分をプロにしようと意識をし始めて。今でも覚えているんですけど、水曜日だったんです。練習は夜9時半に終わる予定だったんですけど、火曜日までやっていたアマチュアの練習が7時に終わって、そのまま自宅に帰ったんですよね。そしたら会長に『お前、9時半までしっかり練習しろよ』って言われて。だから火曜までと水曜からの会長の態度が全然違うんですよ。火曜日までは優しかったのに。めちゃめちゃ怖くなって」
そこから山本は冷や汗をかきながら自宅で練習をすることに。
「練内容はスクワットだったり腕立て伏せだったり腹筋が中心だったんですけど、腕立て伏せにしても100回やれって言われて、ヒザをついたらイチからやり直しなんです。それから100回を30分くらいかけてやって。終わった後、さっきまで怒られていた空間でご飯を食べたんですけど、気まずいというか……」
しかし山本はそこから「怒られながらの練習と自分でやる練習は違う」ことを学んだという。
さらに山本は、中村戦に関して、注目すべき発言を残した。それは中村いわく、「桜庭和志さんにコツを教わった」という“必殺の腕十字”について。これに関して山本が「正直、取られる気はしないです」と自信ありげにそうコメントしたのである。
「自分は今まで、試合では1本負けやKOされたことがないんです。だから次の試合まで楽しみにしていてほしいってところは、自分は動きが止まらない、スピードが早いってところがあります。それと今までRIZINではまだ寝技が見せられていないですけど、中村大介選手もそうだし、それが(2月に静岡であった『RIZIN TRIGGER 2nd』でメインを務めた)佐々木憂流迦選手だろうと、クレベル・コイケ選手だろうと負ける気はしていないです」
弱冠21歳の山本が、ここまで言い切るのには理由がある。
「MMAに関してはまだひよっこかもしれないですけど、寝技に関しては、小学校5年生からずっとやって、会長が得意とするところの(UWF独特の)回転体の練習をしてきたので。腕十字だったり、一本負けはしないと思います」
では、中村とはいったいどんな試合をして、どんな技で仕留めるのか。この問いに対し、山本はニヤリと笑ってこう答えた。
「正直、考えているのは足関(節技)でいこうかと思っています。理由としては最近の現代MMAではあんまり足関は見れないと思うんですけど、今回は(“U”の流れの試合でもあるので)足関で勝ちたいなと思っています。そこは自分の器を見せるっていうか可能性があるっていうので、足関を考えていますね」
もちろん中村戦が「UWF継承マッチ」と呼ばれることは、山本も十分に認識している。
「そう(継承マッチ)と言っていただけるのはうれしいです。それと自分は今の現代MMAよりは昔の選手のほうが強いと思っているんです。この考えは人それぞれだと思います。でも、技術はたしかに今のほうがすごいけど、技術を上回る気持ちというか、それが昔の人たちはあるなあと思っていて。そういった点で“U”に関しては、僕にとっては重たいものだから、自分が受け継いでいいのか、とか(考えることもある)」
だからこそ、山本は覚悟を持って中村戦に挑む。
「もちろん、“U”を背負っていきたいとは思っているんですけど、今の自分にはまだ重たすぎます。自分自身でもまだ、“U”を受け継ぐことを認めていないんですけど、今回の試合では、少しでもその器があるってことを見せたいなと思います」
果たして「“U”の未来形」はリング上で花開くのか――。