ノブコブ徳井が考察する芸人たちの「絶望」と「成功」 背中を押した東野幸治の言葉

「敗北からの芸人論」を手にした徳井健太【写真:ENCOUNT編集部】
「敗北からの芸人論」を手にした徳井健太【写真:ENCOUNT編集部】

YouTubeチャンネル「徳井の考察」を開設し芸人に助言「悟り芸人」とも

「失敗しても諦めないでそれをプラスに変えられるのって面白いし、いいこと。オリンピックも何で4位だったのかと思うと悲しいけど、あの時メダルを取れなかったからこそ5年後、10年後がある。4位になってふてくされてやめていった芸人もたくさん見てきたので、そこでやめちゃだめだと言いたい」

 今や、YouTubeチャンネル「徳井の考察」を開設し、多くの芸人から相談され、考察し、アドバイスを送り、「悟り芸人」ともいわれる徳井。転機は、テレビ東京の番組「ゴッドタン」の「腐り芸人セラピー」だった。心に闇を抱えてしまったゲストの芸人が本音をぶちまける企画でインパルス・板倉俊之、ハライチ・岩井勇気との「腐り芸人トリオ」でゲストの話を聞くが、強烈な毒を吐く板倉、岩井に対し、「僕の毒では通用しない。2人がゲストを責めるなら、こっちはいいところを褒めて更生させたいと逆張りでいった。そこからですね。番組に感謝してます」。

 コンビ結成から22年となるノブコブの相方・吉村について本書では「コンビは15年で『兄弟』になる。7年前から我々は、兄弟になった」。この間、2度の解散危機、そして徳井が吉村に3度抱いた「殺意」などの交錯する思いを記している。

「兄弟になって、これまでの時間と、僕が40歳になって、吉村はいつまでも子どもという生き物なんだと悟って、飲み込んだ。吉村は僕が連載で『吉村、ありがとう』と書いたのを見て、『こいつ、まだ俺を殺す気なんだ』と受け取ったとラジオで話してましたけど(笑)」

 お笑いの世界についても「時代も環境も変化した」と考察したうえで、「若手は未来の笑いを背負っていくのに僕の言うことは聞かないほうがいいとも思っていて。例えば10代がやっているYouTubeを見ても、面白いポイントがいまいち分からない……。でも何百万人もの人に支持されているということは僕の感覚がもう古くなっているってこと。徳井はじじいだな~て笑われて消えていくのも時代の流れかな。これで引退するわけじゃないけど(笑)」

 その若手の中で、徳井のイチ押しは、本書で「ヤバイ、恐怖の後輩」と紹介する粗品とせいやのコンビ・霜降り明星だ。「別格だと思うんですよ。ちょうどうちら世代と若い世代のいいところが合わさっちゃっていて、どっちにもウケるタイプ。すごいです。ダウンタウンさん、千鳥さんの次に来る、恐るべき存在だと思う」と賛辞を送る。

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