東京の家賃相場“西高東低”のワケ 23区内単身向け物件の最新事情、“穴場”の駅とは

コロナ禍で「『日常の暮らし』に重きを置いて賃貸を探す」ケースも

 また、マンションに限ると、新築供給が少なく、金融資産的な捉え方で選ばれている側面があり、中古も新築も価格高騰が続いているが、賃貸は異なる様相を呈する。「一般に、賃貸家賃相場には粘着性があると言われており、経済動向の変化があっても、相場は下がりづらく、上がりにくいとされています」(笠松氏)。ストックの量が一定で、常に、周辺物件との比較にさらされているので、空き部屋が多い場合はオーナーが家賃を下げるケースはあっても、高くして空室が増えては元も子もないので、賃貸の家賃相場は、急激な変化が起きにくい特性を持つという。

 今回の調査では29位(34駅)までの駅名ランキングが分析されている。ここで、笠松氏が“穴場”をピックアップした。

 まずは、29位の綾瀬(足立区)「6.8万円」だ。近年、新築マンションが増加し、駅前のタワマン計画もあることから、町のにぎわいが期待され、街の知名度も高まることで、「賃貸相場が緩やかに上がっていく可能性はある」としている。22位の大泉学園(練馬区)「6.7万円」は「住宅地としての歴史は古く、整然とした町で駅周辺には商業施設もそろっている」。鉄道の乗り入れの側面を見ても、東京メトロ有楽町線・横浜高速鉄道みなとみらい線が使え利便性が注目されるという。4位にランクインの喜多見(世田谷区)「6.2万円」は「世田谷区は農地もあり、地元の野菜の直売所があるようなのどかな雰囲気」で、狛江市に隣接しており、「ほかの自治体との境にある“23区きわきわ”の地域の駅がランキングに多いのも特徴です」とのことだ。

 新型コロナウイルス禍における物件選びには、どんなポイントがあるのか。コロナ禍前は通勤・通学のアクセスが第一条件にあったが、「テレワークのため週に数回の出社など、スタイルの変化が進んでいます」。自転車が注目され、レンタル自転車サービスも普及していることから、「過ごす時間の増えた家を中心とした円を描き、自分の動く範囲でどれだけ自分の趣向に合うものがそろっているか。この観点からの住居選びも見受けられます。都心部の飲食店に行かなくても、町の商店街になじみのお店を作り、お惣菜を買って家で食べるなど、自宅を中心に飲食・趣味・愛着といった『日常の暮らし』に重きを置いて賃貸を探す考え方もあります」と話している。

次のページへ (3/4) 【写真】東京23区内の単身向け賃貸物件の最新ランキング
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