「ヨコハマ映画祭」最優秀新人賞の中田青渚 人生2度目のトロフィーで生まれた女優の覚悟

22歳の中田青渚(なかた・せいな)が、「第43回ヨコハマ映画祭」で最優秀新人賞を受賞した。女優として初めての栄誉で、縁のある横浜市の映画ファンらが選んだ賞。トロフィーと表彰状を手に「重みを感じる」と実感を込めた。

中田青渚は、「第43回ヨコハマ映画祭」最優秀新人賞受賞の吉報に驚いたという【写真:舛元清香】
中田青渚は、「第43回ヨコハマ映画祭」最優秀新人賞受賞の吉報に驚いたという【写真:舛元清香】

縁ある横浜の映画ファンが選んだ賞は「とてもうれしい」

 22歳の中田青渚(なかた・せいな)が、「第43回ヨコハマ映画祭」で最優秀新人賞を受賞した。女優として初めての栄誉で、縁のある横浜市の映画ファンらが選んだ賞。トロフィーと表彰状を手に「重みを感じる」と実感を込めた。(取材・文=西村綾乃)

 昨年12月に届いた吉報。思いもよらない知らせに、中田は「えっ、うそでしょう?」と耳を疑ったという。「現場でスタッフさんや共演者の方から『おめでとう』と言われたりしましたが、最初は、ドッキリかなと思っていました」。

 ヨコハマ映画祭は、映画ファンが手作りするイベントとして、1980年に第1回が横浜市鶴見区で開催された。以降、スポンサーを付けず、各賞はファンや映画評論家ら37人が投票して決定している。中田は2021年に出演した「街の上で」「あの頃。」「うみべの女の子」の劇場3作品で見せた瑞々しい演技が評価された。14歳で芸能活動を始めた自身にとって初めての栄誉。縁のある「ヨコハマ」の冠が付いた賞に喜びもひとしおだった。

「(私は)高校進学をきっかけに兵庫県から単身上京しました。高校には寮から通い、大学の1年目はキャンパスが神奈川県内にあったことから横浜に住んでいました。初めての一人暮らしでとても心細かったのですが、生まれた神戸と横浜は同じ港町。みなとみらい(21地区)に広がる港や中華街などの風景が重なって、横浜の街並みに励まされていました。今は離れてしまいましたが、縁がある横浜の方々が映画を見てくださり、映画を好きな方に支持をしていただけたことがとてもうれしいです」

 コロナ禍で2月6日に予定されていた授賞式は中止になったが、取材日の同15日、先端にアンモナイト(映画撮影のキャメラアイ=焦点の意味を持つ)がデザインされたトロフィーと手書きの賞状を初めて手にし、その重みを感じた。

「私は『第5回Sho-comiプリンセスオーディション2014』のグランプリ受賞をきっかけにデビューしました。このときは芸能界に興味があるというよりも、賞品の図書カードが目的でした。それで、好きだった『メイちゃんの執事』という漫画を買いたかったんです(笑)。トロフィーを手にするのはそのとき以来で人生2度目ですが、ずっしりと重くて、『先輩方が手にされた賞をいただいたんだ』という緊張感がありました。そして、この賞に恥じないように『役者としてしっかりしなくては』という覚悟のような思いが生まれました」

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