葉加瀬太郎の心を動かしたスタッフの気迫 SPドラマ「津田梅子」の劇中音楽誕生秘話
娘・向日葵さんの出演シーンに父の反応は?
そしてドラマに関してもう1つトピックがある。今回、葉加瀬のまな娘・向日葵さんが鹿鳴館のシーンでワルツを演奏するバイオリン奏者として出演している。そのことについて聞くと照れくさそうに話してくれた。
葉加瀬「エキストラ役でね。鹿鳴館のバイオリンを弾く女の子が必要だと言うことで出演する前に娘からそんな話を聞いていて家で熱心に練習してましたよ(笑)。撮影当日、娘から楽器を貸してくれと言われてね。自分の使っている楽器じゃないの? って思いながら『はいどうぞ』って普段ステージで弾いているサブのバイオリンを渡したんだけど。何千万円もするって分かって借りたのかな(笑)。
(出演シーンを)見ましたよ。まあ本人が喜んでいたんじゃないのかな。僕の感想? そう言われても別にね……まあ彼女が楽しんだならそれが何よりですから(笑)」
ずばり葉加瀬太郎の魅力とは? と内山氏に聞いてみると「ハイレベルな音楽や演奏を、彼の人柄で一般の人たちに近づけてくれる魅力があります。音楽録音のときに『うますぎる演奏はよくない』と仰っていたのが感動しました」と回答してくれた。「うますぎる演奏は良くない」このことについて葉加瀬に聞くと
葉加瀬「つまりピッチもタイミングも全部ピッタリすぎると人間的な味わいがなくなっちゃうわけです。ずれるから、揺れるから人間的な魅力“うねり”が生まれるんです。特にここ数年、僕自身求めている音楽というのはそういう音楽なんです」
昨年は葉加瀬太郎バンド史上最高の“うねり”と音楽の楽しさを味わう全国ツアーが開催され、コロナ禍でも音楽の大切さを求めて大勢の人がコンサート会場に駆けつけてくれた。
葉加瀬「実際にこの状況の中でステージの真ん中にパッと立ってみると、客席を見回したときに2000人いたら2000人全員がマスクをしている。その光景に最初はかなり度肝を抜かれました。だからこそでもあるし、考えてみると演奏するってもともと祝祭的なことだったり祈りだったり、言ってみればお祭りですから。お祭り担当の葉加瀬太郎として全国を回っているので、美しい音楽を一生懸命演奏して、その姿を見ていただけたら、そこに言葉は必要なくて、『あのおじさんたち何であんなにはしゃいで演奏してるんだろう?』とかね(笑)。それが1番のメッセージですから」