葉加瀬太郎の心を動かしたスタッフの気迫 SPドラマ「津田梅子」の劇中音楽誕生秘話

音楽家の葉加瀬太郎が5日放送のテレビ朝日系スペシャルドラマ「津田梅子 ~お札になった留学生~」(午後9時)の劇中音楽を担当する。これまで数々のサントラを手掛けてきた葉加瀬が新たに挑んだのは“新5000円札の顔”津田梅子の青春だ。そこで葉加瀬のインタビューに加え、本作のエグゼクティブプロデューサーであり、ドラマ「ドクターX」など、数々の名作ドラマを担当してきたテレビ朝日・内山聖子氏の証言を交えながら大冒険を予感させる心躍るサウンドの誕生秘話、そしてドラマ「津田梅子」の魅力を劇中音楽からひも解いていこう。

ドラマ「津田梅子」劇中音楽の制作風景【写真:(C)HATS】
ドラマ「津田梅子」劇中音楽の制作風景【写真:(C)HATS】

作品のテーマは「冒険の旅」

 音楽家の葉加瀬太郎が5日放送のテレビ朝日系スペシャルドラマ「津田梅子 ~お札になった留学生~」(午後9時)の劇中音楽を担当する。これまで数々のサントラを手掛けてきた葉加瀬が新たに挑んだのは“新5000円札の顔”津田梅子の青春だ。そこで葉加瀬のインタビューに加え、本作のエグゼクティブプロデューサーであり、ドラマ「ドクターX」など、数々の名作ドラマを担当してきたテレビ朝日・内山聖子氏の証言を交えながら大冒険を予感させる心躍るサウンドの誕生秘話、そしてドラマ「津田梅子」の魅力を劇中音楽からひも解いていこう。(取材・文=福嶋剛)

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 日本初の女子留学生としてアメリカに渡り、女子教育の道を切り拓いた津田梅子の青春を描いた大型スペシャルドラマ「津田梅子 ~お札になった留学生~」。若き日の梅子を広瀬すずが演じ、豪華俳優陣が脇を固める。本作の見どころについて内山氏は「先の見えない時代に、自分を信じて道を切り開いていこうとする津田梅子の葛藤を描いています。明治も今も、実は生きる女性の悩みは同じではないかと思い、少しでも応援できるドラマになっているとよいです」と答えた。

 そんな作品に立体感を与える音の演出(=サウンドトラック)について内山氏は「物語を生きる人たちの背中を押してくれる音楽性が大事」とその重要性を説いた。続けて葉加瀬を起用した狙いについて次のように述べた。

内山氏「本作は偉人の偉業を称える物語ではなく、今の時代にも通じる女性たちの悩みと、未来に向けたワクワク感を感じてほしいドラマなので、その世界を表現してくださる音楽家だと思い、葉加瀬さんにお願いしました」

 内山氏の言葉を受けて葉加瀬もスタートのきっかけについて語った。

葉加瀬「今回オファーをくださったチームとは『流転の王妃・最後の皇弟』(2003年、テレビ朝日)、『いのちのいろえんぴつ』(08年、テレビ朝日)で一緒だった方たちで、これで3回目になるんです。僕はだいたい会議中にメロディーが浮かんできて、それこそ以前『サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん』(テレビ朝日)を見てくれた人は分かると思うんですが、今回も監督やプロデューサーと最初にミーティングというか談笑していた時になんとなくメロディーが降りてきたんです。そこから他の場面の曲のイメージもどんどん湧いてきて。

 1時間足らずの会議でしたが、最後に若い女性スタッフが真剣な面持ちで僕にこう言ったんです。『今の女の子にも通じる気持ちがきっとあの時代の彼女にもあると思うんです! 時代に左右されず絶対に変わらない。そんな部分があると思っていて、そんな楽曲になってほしいんです!』ってね。まさに内山さんが語ってくれたことですよ。それを聞いて『この人面白いなあ』って。その瞬間に僕の中で決まったんです。会議の中で最も印象的な言葉を残してくれた彼女が良いと思ってくれるような曲を書いてみようってね」

 こうしてでき上がったのがメインテーマ「New Beginnings」だ。約30秒にわたり船の汽笛にも似た音で夜明けや出発前を想像させ、そこからメインのメロディーが流れてドラマが大きく動き出す。まさに大航海の始まりだ。

葉加瀬「この作品は『冒険』というテーマを掲げたんです。あの時代、まだ誰も行ったことのないアメリカにたった6歳の少女(梅)が大きな船に乗って行くわけですから。それはもう“ワクワクドキドキ”するし、とても大変なことじゃないですか。だから今回の作品で冒険そのものを書こうって思ったんです。

 と言っても『インディージョーンズ』ではない。あくまで『少女の冒険の旅』なんです。そんな映像を頭の中に思い浮かべながらどんどん書き進めていきました。僕の音楽って、例えば今回で言うとあの時に女性スタッフが語ってくれた声色だったり説明してくれたニュアンスなんかが音のイメージに大きく影響するんです。『今の女の子にも通じるワクワクする希望とか前進する気持ち』ですよね」

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