なぜコロナ禍で中古車が高騰しているのか 専門家が明かす“消費者心理”の変化

消費者に求められるのは「エリアとスピード」を意識した探し方

 ここで顕著なのは、中古車の情報を得るためのメディア利用率の増加だ。同サイトは、毎年102、103%の利用者増で推移してきたが、コロナ禍では数十%の単位で急激に増加。宮下氏は「ニーズが高まった中で、実際に店舗に行く機会が制限されたこともあり、ネットで中古車を探す人が多くなりました」と語る。

 それでは、なぜこんなにも中古車に熱い視線が注がれているのか。新車の台数減・納期遅れを受け、「直近で車が欲しいユーザーが、比較的新しい中古車を検討するケースが増加傾向」(宮下氏)にある。新車が欲しい人は中古車に目を向けないという従来の消費者心理が変化。先にも述べたとおり、年式の高い中古車が増えていることもあり、購入対象について「新しめの中古車への切り替え」が起きているというのだ。

 コロナ禍で競争激化する中古車探しについて、「カーセンサー」は消費者側と販売店側双方に向けた“支援策”を実施。サイト内の「360度画像」に加え、20年7月からはオンライン接客システム「インスタントライブ」を本格導入。消費者がオンライン上で販売店と相談や実車確認ができるだけでなく、販売店向けには契約後の煩雑な作業をオンライン化できるのも特徴。業界で遅れ気味のデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進に取り組んでいるという。

 年が明けても、半導体不足が解消する気配はあまり見られない。コロナ禍は相次ぐ変異株の出現によって不透明感が拭えない。宮下氏は「マーケットの状況が落ち着くのはいつになるかは読めない」と口にする。

 一般消費者が、よりよい条件で中古車を手に入れるにはどんなことが重要なのか。宮下氏は「エリアとスピード」を挙げる。まず、販売店を探索するためのエリアが拡大の傾向にあるといい、「『近場でいい車』という条件ではチャンスが少なくなっているので、ネットメディアをうまく駆使して見つけることがポイントです」。効率的に着実にお目当ての車を探し出す“情報戦”の様相を呈しているようだ。

 次に、消費者に求められるのはスピード感だ。中古車購入までの検討期間について、先述の実態調査によると、19年の平均50日前後から、コロナ禍以降、約40日間にまで短くなっているという。「私たちが把握している中で過去最短の数字です。いいものはどんどん売れる。この傾向が強くなっています」。コロナ禍のいま、希望の車を手に入れるためには、“即断即決”がカギとなりそうだ。

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