東京五輪金メダリストのライバルだった天才レスラーの今 中村倫也はMMAで世界目指す

中村倫也は東京五輪金メダリストの乙黒拓斗と最終選考まで代表の座を争った【写真:Getty Images】
中村倫也は東京五輪金メダリストの乙黒拓斗と最終選考まで代表の座を争った【写真:Getty Images】

東京五輪金メダリストの乙黒拓斗とはライバル

 中村には東京五輪フリースタイルレスリング65キロ級で金メダリストの乙黒拓斗としのぎを削っていた過去がある。

 本来、高校卒業後にMMA転向する予定だったが母から「大学は出てほしい」と止められた。大学でもレスリングを続けたが、2016年リオ五輪の選考に落選した後は再び総合へと心が揺れた。それでも自国開催の五輪があるならと、気持ちを入れなおした。

 結果的に、19年12月に行われた東京五輪最終選考で乙黒に敗れた。当時の心境について意外にも「自分を褒めようという感じでした」と振り返った。

「(同年)2月に右肩を脱臼していて、神経麻痺がおこっていました。三角筋がない状態で試合をしていたので、手が上がらなかった。けがをした時には(東京五輪は)きついかもなと悟っていた。乙黒以外はなんとかなると思っていたけど、乙黒だけは分が悪いと思って殺気で勝とうと思って、全身の毛を剃って、選考会に臨みました」

 乙黒とはずっとライバルであったわけではない。「まさか同じ階級で争うとは思っていませんでした」と本音が漏れた。

「争うことになった最後の1、2年はバチバチでしたね。以前はお互いのインスタグラムをフォローしあっていたけれど、途中から非表示にしていました。選考終わった次の日からお互いの投稿が見られるようになったんです(笑)」とはにかんだ。

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