東京五輪金メダリストのライバルだった天才レスラーの今 中村倫也はMMAで世界目指す

MMAの超新星として注目を集めている。1月に行われた格闘技イベント「プロフェッショナル修斗2022 開幕戦」では25秒殺とマイクパフォーマンスで観客を魅了。「EXFIGHT/LDH martial arts」所属の26歳・中村倫也(なかむらりんや)だ。レスリングで世界チャンピオンにもなった期待の新人の素顔に迫った。

インタビューに応じた中村倫也
インタビューに応じた中村倫也

試合後のマイクで残した“格闘技”への思い

 MMAの超新星として注目を集めている。1月に行われた格闘技イベント「プロフェッショナル修斗2022 開幕戦」では25秒殺とマイクパフォーマンスで観客を魅了。「EXFIGHT/LDH martial arts」所属の26歳・中村倫也(なかむらりんや)だ。レスリングで世界チャンピオンにもなった期待の新人の素顔に迫った。(取材・文=島田将斗)

 堂々と入場し、25秒で相手を仕留めた。ゴングが鳴った直後に修斗世界バンタム級9位の野尻定由が飛び膝で奇襲、中村はタイミングを合わせ左ストレートを放った。一撃で沈めたその姿は、とてもプロ2戦目とは思えないオーラがあった。

 格闘技に対する熱い思いを感じる。中村は試合後のマイクで「0歳からお腹の中でも、この会場で修斗を見てきた。あこがれの先人たちを生き写しにしたいです」と宣言し、ファンの心をわし掴みにした。

“あこがれの先人“とは誰を指すのか。

「名前を挙げだしたら本当にきりがなくて。修斗の池田久雄選手とか、石川真選手、PRIDEだとカーロス・ニュートン、ミノワマン……。本当にいろんな選手のいろんないいところを見て、本当にかっこいいなって」と往年のレジェンドの名を列挙した。

 単に憧れで名前を出したわけではない。総合格闘家になると決めた瞬間でもある思い出が中村にはあった。

「小さい時に母親の膝の上で見ていた修斗で、母親が泣いていて、周りの大人も熱狂していました。それを見て子どもながらにこんなに人の心を動かせるスポーツ、スポーツといっていいのか……。人が生きるか死ぬかをやっていて、こんなに盛り上がって『なにこれ』って良い意味でショックを受けました」と目を輝かす。

 そして「こんなに命をかけて“人”を魅せる仕事はないだろうなって感じました。これ(MMA)はずっとやろうと決めましたね。というよりも、やるんだろうなって小さいときから思っていましたね。勝手な使命感もありました。それは2 6年間全くぶれていないです」と笑った。

次のページへ (2/4) レスリングで数多くの実績もすべてはMMAのため
1 2 3 4
あなたの“気になる”を教えてください