乳がん検診ポスター、“福引き”デザインが物議 「趣旨を踏まえて選出」も協会は謝罪
乳がん検診の啓発を促す「第17回ピンクリボンデザイン大賞」受賞作品が、ネット上で賛否を呼んでいる。「ピンクリボンデザイン大賞」は、乳がんの早期発見の大切さを伝え、検診受診を呼びかけるとともに、正しい知識の習得と自分に合った適切な行動を促す作品に贈られる賞。入選作品は毎年10月に行われるピンクリボンフェスティバルで発表され、グランプリ受賞作には賞金50万円などが贈られるとともに、交通広告などでポスター化される。
「まさか」という情景から、胸に見立てたガラガラ抽選器をデザイン
乳がん検診の啓発を促す「第17回ピンクリボンデザイン大賞」受賞作品が、ネット上で賛否を呼んでいる。「ピンクリボンデザイン大賞」は、乳がんの早期発見の大切さを伝え、検診受診を呼びかけるとともに、正しい知識の習得と自分に合った適切な行動を促す作品に贈られる賞。入選作品は毎年10月に行われるピンクリボンフェスティバルで発表され、グランプリ受賞作には賞金50万円などが贈られるとともに、交通広告などでポスター化される。
2021年のグランプリ受賞作は、女性の乳房を模したような配色の福引きから、ピンクの当たり玉が出るというデザインで、別途応募された「『まさか、私が』と毎年9万人が言う」というキャッチコピーが添えられている。受賞作の製作者は、ピンクリボンフェスティバルのHP上で「何気なく参加した商店街の福引きで当たりが出た時の『まさか』という情景を思い描き、胸に見立てたガラガラ抽選器をデザインしました。何でもないような日常の中に『まさか』が隠れているかもしれないことを伝え、多くの人が乳がん検診を意識するきっかけになればと願っています」と製作意図を説明している。
このグランプリ受賞作が2月中旬、あるユーザーの投稿をきっかけにネット上で話題に。「抽選で当たりが出ましたみたいなデザイン。すごく腹立たしい」「当事者にとっては絶望でしかないのに、茶化されてる気になります」と、乳がんを“くじびきの当選”扱いにしていることに批判的な声が上がり、公式サイトはつながりにくい状態となった。一方で、「多くの人に刺さるのなら広告としての役割は果たしている」と擁護する意見もある。また、これをきっかけに過去の受賞作も注目され、一部で女性を蔑視しているとして、これらも物議を醸している。
日本対がん協会の担当者は、取材に対し「デザイン大賞は、乳がんの早期発見の大切さを伝え、検診受診を呼びかけるとともに、正しい知識の習得と自分に合った適切な行動を促す作品を募集しており、その趣旨を踏まえて選出されたと認識しています」と文書で回答。審査過程については「非公開となっており、詳細はお答えできません」とし、「患者さんやご家族の方を傷つけてしまったことをお詫びを申し上げます」としている。