MMAデビュー3連勝の超新星 21歳宇佐美正パトリックが東京五輪落選から這い上がるまで
東京五輪選考会で落選、蘇らせた父の言葉
MMAファイターとして順風満帆なスタートを切った宇佐美。かつては五輪での成功を目標にしていた。しかし、東京五輪の選考会で落選。当時について重い口を開いた。
「オリンピックに行くのが夢であったし、親父も連れていきたいっていう気持ちも強かった。選考会で負けた時は、正直どうしようかなと思いましたね。負けた瞬間から1週間ぐらいどうしたらいいか分からなくなりました。ランニングしているだけで、ちゃんとした練習はできていなかった」
暗い毎日を変え、再び心に火をともしたのは父・秀嗣さんの存在だ。宇佐美には今でも忘れられないひとことがある。
“相手の方が努力してたんちゃう?”
「それを聞いてすごい悔しかった。負けて夢がかなわなくて、すごい挫折してたんですけど、もう負けたくないって気持ちになって、なるべくできることをやった」
それからの宇佐美の決断は固かった。
「親父とネットでオーディション見つけて、これは自分の中でも挑戦すべきなのではないかと思った。でも、MMAはできるのかなって心配をずっとしてたんですけど、自信を持って1回やれと背中を押してくれた」と当時を振り返った。
父を語る表情もイキイキとしてきた。
「1番見守ってくれているなっていうのがあるし、1番大事。試合にいるとやっぱり心強いですよね」と温かい。LDH主催「FIGHTER BATTLE AUDITION」の様子を追いかけた密着番組ABEMA「格闘DREAMERS」でもその姿は目立っていた。
「会場とかでも声出しているので、本当はやめてほしい(笑)。ボクシングで僕1回言ったことあるんですよね。コロナ前にリーグ戦で後楽園ホールで試合をすることがあった。試合になると父ひとりだけの声が大きいので聞こえてくるんですよ。恥ずかしいからゴングが鳴ってコーナー向かう時にジェスチャーしてくれってお願いしましたね(笑)」とはにかんだ。
父への信頼は熱い。「自分が大阪おる時は常に一緒にいるので、一緒にお墓参り行ったりとか、格闘技の話したりとか、一緒にいてずっとリラックスしています。そういった部分でも信頼関係がずっと生まれているのではないかと思います」と思わず関西弁がもれる。現在でもメンタル面の支えになっているようだ。