コロナ禍で婚活事情に生まれた変化 マッチングアプリ普及で恋愛格差は拡大か

飲食店の営業自粛やリモートワークなど、コロナ禍の影響で減少が危惧される男女の出会いの場。東京大学と東京財団の調査チームでは、新型コロナウイルスの影響で2年間でおよそ11万件の婚姻が失われたとの推計を公表、今後数年でおよそ21万人の出生数減少につながるとも試算し、少子化への拍車も懸念される。コロナ禍で経済的不安や出会いの減少が続くなか、男女の出会いの場は今どのような状況を迎えているのか。「婚活ビジネスの教科書」著者でノマドマーケティング株式会社代表取締役の三輪賢治氏に聞いた。

コロナ禍で変わる婚活(写真はイメージ)【写真:写真AC】
コロナ禍で変わる婚活(写真はイメージ)【写真:写真AC】

新型コロナウイルスの影響で2年間でおよそ11万件の婚姻が失われたとの推計も

 飲食店の営業自粛やリモートワークなど、コロナ禍の影響で減少が危惧される男女の出会いの場。東京大学と東京財団の調査チームでは、新型コロナウイルスの影響で2年間でおよそ11万件の婚姻が失われたとの推計を公表、今後数年でおよそ21万人の出生数減少につながるとも試算し、少子化への拍車も懸念される。コロナ禍で経済的不安や出会いの減少が続くなか、男女の出会いの場は今どのような状況を迎えているのか。「婚活ビジネスの教科書」著者でノマドマーケティング株式会社代表取締役の三輪賢治氏に聞いた。

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 飲食店の営業自粛や時短営業で、夜の街から活気が失われたこの2年。リモートワークの普及でオフィス恋愛の機会も減る中、男女はどこに出会いの場を求めているのだろうか。

「新型コロナが年々進んでいたマッチングアプリの普及をさらに加速させた感じですね。ネットの出会いというと、ひと昔前は『出会い系サイト』などネガティブな印象の強かったですが、今や完全に市民権を得た印象です。反面、コロナ禍前ですらやや時代遅れ感のあった婚活パーティーや街コンが、コロナでさらに激減した。今の20代の子たちはネットの出会いこそ主流で、合コンの文化すら知らない子も多いです」

 コロナ禍で急速に拡大したマッチングアプリ市場だが、リアルよりネットに出会いの場を求める傾向は、コロナ禍以前からあったものだと三輪氏は指摘する。

「僕が婚活ビジネスに参入した20年前はガラケー全盛で、出会いどころかネットでイベントに予約すること自体がまだまだマイナーな時代でした。昔は合コンや知人からの紹介が出会いの主流で、ネットの出会いってある意味リアルで出会えない負け組がするものでした。それが、ネット通販や動画視聴など、ネットが生活に浸透したことでネットの出会いに対する抵抗もなくなってきた」

 長らく婚活市場を見てきた三輪氏は、マッチングアプリが一般化したことで出会いの幅が広がり出会い易くなった反面、さらに恋愛格差が拡大したと分析する。つまり、一部のモテる人がさらにモテ、モテない人は一層モテない状況に陥りつつあるというのだ。

「マッチングアプリは膨大な人数のプロフィルに目を通し、その中から相手を探すため、どうしても理想が高くなりやすい。直接会って話すより前に、学歴や年収や年齢、身長といったフィルタリングがかかるからです。会ってみれば素敵な人かもしれないのに、履歴書の段階で落とされてしまう。あるいは、もっと良い人がこんなにいると目移りしてしまうことにもつながる。結果的に一部の良いプロフィルの持ち主のみがモテるという状況にもなりがちです」

 コロナ禍で直接出会うことが難しく、さらにネットの出会いが主流となりつつある昨今。このままリアルの出会いは廃れていくのか。三輪氏は希望的観測を含みつつ、「一部の層はまた街コンなどのリアルイベントに戻ってくるのでは」と見立てる。

「『SNS疲れ』『マッチング疲れ』という言葉もありますが、やはり毎日ログインしてマメにメッセージを返すという終わりのないネットの出会いは疲弊しがちです。街コンは東日本大震災の直後に全国に広まりましたが、こういう不安定な社会情勢のあとこそリアルで出会いたいという欲求が出てくるもの。複数人とリアルの場で一斉に会って、直接話した雰囲気から理想の相手を見つけるという従来の婚活パーティーの在り方が、今こそ求められているのではないでしょうか」

 失われた11万件の婚姻がいつの日か反動で成就する日は来るのか。婚活業界もコロナ禍の収束を首を長くして待っている。

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