【オヤジの仕事】直撃リポーター・阿部祐二さん ミス・ユニバースの娘・桃子さんには直撃できない理由
ミス・ユニバースにも芸能界にも反対だった
正直、ミス・ユニバース出場も芸能界入りも、僕は心では反対でした。やりたいことをやればいいと考えているので、娘が大学4年のときにいきなり言い出したときも「ダメ」とは言いませんでしたけど。なぜ反対かって、ミス・ユニバース日本代表になれると思っていなかったから、娘が悲しむ姿を見たくなかったし、夢破れたあと新しい目標への方向付けをしてあげなくちゃいけない、どうしよう、困ったな、と思っていました。
芸能界入りに反対だったのは努力しても、実力があっても、結果に必ずしも反映される世界じゃないから。親としては、どんな世界であっても、努力が実って何かを成し遂げる達成感、快感を味わわせてあげたい、達成感や快感を味わいながら楽しい人生を送ってほしい、と願っているから。でも、娘がやりたいのなら応援するしかない。僕にできる助言はするようにしています。もし娘が仕事で脱ぐと言ったら? それが娘にとって、仕事で躍進するきっかけになるなら「どうぞ」。伝えるのは家内経由ですけどね(笑)。
気づけばオヤジそっくりの父親になっていた
子供に直接言えず、奥さん経由で伝えるのは、父親譲りかもしれません。オヤジは山形県酒田市で8人きょうだいの7番目に生まれました。極貧家庭だったから10代で東京へ働きに出されて、軍でトラック運転手をしていたそうです。戦後はタクシー運転手になり、毎晩帰るのは午前2時、3時。地道に働いて、僕と兄貴を大学まで行かせてくれました。2004年に脳出血で、76歳で亡くなるまで現役で働いていましたね。
オヤジは僕たち兄弟には何も言わず、「勉強しろ」どころか、僕が夜中まで勉強していたら、「身体を壊すから、あんなに勉強させるな」と言っていた、と母親から聞きました。
僕が中学生のときサッカー部に入って二度も腕を複雑骨折してしまったら、オヤジが怒って学校に文句を言いにいったんです。身体のことを非常に心配する父親でしたね。
子供のファンクラブ会長になることが大事
僕も桃子が丈夫に育ったことが何より嬉しい。悲しい顔をしているだけでも、とても気になります。桃子がどこで何をしているかも気になって、家に帰って桃子がいないと、家内に「電話してみろ」と言ってしまう。夕食はできるだけ一緒にとって、その日の出来事を報告しあう。娘には“親はつねに気にかけている”と思わせたい。子供って、親が自分を気にかけてくれていると感じていたら、節度をもった行動をとるんじゃないかなあ。そう信じていますよ。
でも、僕が娘を育てあげた、なんて言ったら家内に怒られます。桃子がよく育ってくれたのは、家内のおかげ。もし僕が子育てについて何か言えることがあるとしたら、親は子供の一番のファン、サポーターになって、ファンクラブ会長になった気持ちで子供を気にかけてあげることが大事、ってことですね。
□阿部祐二(あべ・ゆうじ)1958年8月14日、東京・板橋区生まれ。早稲田大学政治経済学部1年のとき、雑誌記者にスカウトされ雑誌やショーのモデルに。1983年、連続ドラマ「婦警さんは魔女」(TBS)で俳優デビュー。1987年、美人プロゴルファーで知られた礒村まさ子さんと結婚。1994年、報道・情報番組「ビッグモーニング」(TBS)でリポーターに。2007年から朝の情報番組「スッキリ」(日本テレビ)に出演し、俳優としても朗読劇「遠き夏の日」(6月19日北九州芸術劇場小ホール、8月27~30日新宿角座)に出演。2017年、一人娘・桃子さんがミニ・ユニバース日本代表に選ばれ話題に。