スカウトから9年、オーディションで落ち続けた25歳高田夏帆が2度目の朝ドラ出演果たすまで

「仮面ライダービルド」ではヒロイン役を勝ち取った高田夏帆【写真:山口比佐夫】
「仮面ライダービルド」ではヒロイン役を勝ち取った高田夏帆【写真:山口比佐夫】

オーディションで落ちる日々…忘れない監督からの叱咤

 それでも、テレビ朝日系「仮面ライダービルド」(17年9月~18年8月)では、オーディションでヒロイン役を勝ち取り、監督に鍛え上げられた。

「まず、自分で手応えのないオーディションで『ダメだ』と思っていたので、受かった理由を聞くと、『1人だけ、顔が怖すぎたから気になった』と言われました。私は、課題を懸命に頭の中で繰り返していたのを覚えていますが、笑顔も見せずに集中していたんですね。始まってからは、泣きの芝居で苦労しました。『カット、もう1回』と言われた後、私は気持ちをリセットしてから気持ちを高めていましたが、監督からは『何で気持ちを切るんだ。カットになっても、その感情を沸々と高め続けないと泣けないだろうが』と怒られました。その言葉は忘れませんし、『凛子さん』の現場でも教えを守ってそうしていました」

 そして、「とと姉ちゃん」(16年前期、高田は計3話に登場)以来、2度目の朝ドラ出演となる「ちむどんどん」は、沖縄に生まれ育ったヒロイン暢子(黒島)と兄妹たちを描いた作品。高田は、沖縄本島北部「やんばる地方」村で、共同売店を取り仕切る前田善一(山路和弘)の娘で、暢子の友人・前田早苗役を演じる。昨年12月には、沖縄ロケにも参加している。

「サーターアンダギーを食べて、海の前で撮りました。半袖で過ごせる日もありましたね。黒島さん演じるヒロインと制服を着て高校に登校するシーンもあります。そのワクワク感もありましたし、沖縄の方言でセリフを言えていることが楽しいです。気づいたら、方言を使ったアドリブもしていて、地元の方から『ナチュラルで良かったよ』と言っていただき、とてもうれしかったです。家族も放送を楽しみしていますし、今度は父とも一緒に見ます。安心して(笑)」

 女優として階段を上がっている今、「朝ドラヒロイン」のオーディションを受けていたことも明かした。一方で、間近で見る黒島の演技力に圧倒されている自分もいるという。

「正直、黒島さんがすごすぎて、『絶対にヒロインになりたい』と言い切れない自分がいます。なので、今は与えられた前田早苗という役を全力でやり切って、次につながるようになればと思っています」

「朝ドラ」史を振り返ると、脇役で存在感を見せてヒロインをつかみ取った女優の例もある。有村架純(「あまちゃん」→「ひよっこ」)、清原果那(「なつぞら」→「おかえりモネ」)がそうだ。今の高田にはそこまでの野心はないようだが、揺るがない1つの思いがあるという。

「これまで私を幸せにしていただいた分、周りのスタッフさんに幸せを返していかなきゃと思っています。もちろん、家族にもです。そのために、もっともっと上を目指したいですし、違う世界も見たいです。結婚はその後です。みんなを幸せにして、『もう、十分だよ』と言われてからです」

 全国津々浦々、老若男女が目にする朝ドラの「ちむどんどん」が、そのきっかけになるか。4月11日からの放送は、その面でも楽しみになってきた。

〇…高田は音楽活動も約3年ぶりに再開することになった。自身が出演し、中川翔子がMCを務めるTOKYO MX「音ボケPOPS」(土曜午後9時30分)の企画で、既にボイストレーナーをつけて準備を始めている。19日の放送では、それに関連したサプライズも用意されているという。高田は19年、(広島)カープ女子の日常を描いたRCC(中国放送)のドラマ「恋より好きじゃ、ダメですか?」で主演。オープニング曲「大航海2020」を歌っている。広島ファンとして知られるユニコーンのアルバム「UC100V」から、EBIが作詞作曲の同曲をカバーしており、同年のレコード大賞企画賞を受賞。高田はそれ以来の活動について、「また歌わせていただき、ありがたいと思うと同時に『時が来たのか』と思いました。頑張ります」と話している。

□高田夏帆(たかだ・かほ) 1996年5月31日、東京都生まれ。14年にデビュー。持ち前の身体能力を生かし、同年の第31回全日本忍者選手権大会で優勝。16年には横浜マラソン完走。ドラマではフジテレビ系「GTO」、TBS系「表参道高校合唱部!」などにも出演している。15年からTBS系「王様のブランチ」のリポーターを担当。血液型A。

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