初代・藤間紫が見せた“優しいおばあちゃん”の顔「ぶどうを口元まで運んでくれた」
初代藤間翔「祖母は“踊りの先生”というより、優しい普通のおばあちゃん」
――おばあさま自らですか?
翔「そうです。肉料理です(笑)。役者のみなさんにパワーをつけてもらうために、自らふるまっていましたね。結構な人数分です。僕も小さかったので料理を手伝って、役者のみなさんにかわいがってもらいました。みんな家族のようでした。僕にとって祖母は、“踊りの先生”というより、普通のおばあちゃんです。でも舞台に立つとすごいんだなって、小さいながらも感じていました。ギャップがすごいのかな。普段の生活では、優しい普通のおばあちゃんでした」
――孫だからこそ知る一面ですね。
翔「小さい頃、僕がぶどうを食べるときに、祖母自ら実を取って、包丁で皮をむいてくれたんです。それを僕の口元まで運んでくれるばあちゃんでした。『手が汚れちゃうからこれで食べなさい』って。でも舞台に立ったら、優しい演技も怖い演技もできる。すごいオーラの出せる、素晴らしいおばあちゃんでした。幼くてもそれはわかりました」
(後編に続く)
□藤間爽子(ふじま・さわこ)1994年8月3日、東京都出身。幼少より祖母・初代家元藤間紫に師事し、2021年、三代目藤間紫を襲名。日本舞踊家・女優として舞台や映像を中心に活動中。NHK連続テレビ小説「ひよっこ」(17)、日本テレビ「ボイスII 110緊急司令室」(21)などに出演。今年はテレビ東京「僕の姉ちゃん」の放送が控えている。青山学院大学文学部比較芸術学科卒業。劇団「阿佐ヶ谷スパイダース」に所属。
□藤間翔(ふじま・かける)1992年01月22日、東京都出身。日本舞踊家で爽子の兄。改名前は藤間貴彦(たかひこ)。2021年2月に歌舞伎俳優の二代目市川猿翁から「初代藤間翔」と命名された。「翔」は猿翁の生きざまを示す「天翔ける心」から。