外国人が消えた東京・山谷地区の簡宿街 コロナ2年目試練の年末 生き残り策に成果も
テレワーク用に部屋を解放できない簡宿の事情
一方で、低価格路線を継続したことによる収穫もあった。
「2500円なりのニーズがあって、昨日今日も学生さんが泊まってくれた。長期出張者もいますし、ニーズはつかみかけている」と手応えを示す。年末年始は満室と一定の効果は出ている。
コロナ前はパートタイマーを含めて11人いたスタッフを現在は2人に減らした。家族で宿に張り付き、切り盛りしている。
実は値下げ以外のことも試そうとした。客室をテレワークの仕事部屋に貸し出すホテルが増えていたため、カンガルーホテルでも検討した。しかし、もともと簡宿の場合、長時間部屋に滞在するリモートワークには適していないとの声が同業者から寄せられた。「(山谷地区では)ほぼニーズがないと聞いている。簡易宿泊できる施設として立ち上げているので、防音とかも向いていない。企画を立ち上げるだけで徒労に終わると思う」と判断した。
オミクロン株は世界で拡大を続ける。日本の入国規制は延長された。小菅さんは「ビジネスとしては再開してほしいけど、懸命な判断かな思う。解禁したとしてもそれはそれで怖い。今は耐え難きを耐えっていう状況」と冷静に受け止めている。
「自分たちが与えられた条件の中でどうやったらベストを尽くせるか、状況に応じて考えていくしかない」。出口の見えない中、希望を捨てず、好転の時を待っている。
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【写真】街並みの景色は一変した