「嫌だな、俺、死んじゃうの?」 コロナ感染でICUから生還したGRACHAN岩崎代表が語った凄絶
今年はRIZINに多数のファイターを送り込み、一定の評価を得ている格闘技イベント「GRACHAN(グラチャン)」。19日には、千葉・幕張ベイパークアリーナにて「GRACHAN51」「GRACHAN52」が開催されたが、その代表を務めるのが岩崎ヒロユキ氏だ。実はこの岩崎代表、昨年は新型コロナウイルスに感染し、高熱→入院→ICU(集中治療室)での生活で生死の境をさまよった。しかも長期の入院後、待っていたのはコロナ治療後遺症との闘い。酸素発生器・酸素濃縮装置を持ち歩く生活を経験し、声帯をレーザー切除した男が今、思うこととは――。全2回の前編。
40度の高熱が3日間 人生初の入院に混乱
今年はRIZINに多数のファイターを送り込み、一定の評価を得ている格闘技イベント「GRACHAN(グラチャン)」。19日には、千葉・幕張ベイパークアリーナにて「GRACHAN51」「GRACHAN52」が開催されたが、その代表を務めるのが岩崎ヒロユキ氏だ。実はこの岩崎代表、昨年は新型コロナウイルスに感染し、高熱→入院→ICU(集中治療室)での生活で生死の境をさまよった。しかも長期の入院後、待っていたのはコロナ治療後遺症との闘い。酸素発生器・酸素濃縮装置を持ち歩く生活を経験し、声帯をレーザー切除した男が今、思うこととは――。全2回の前編。(取材・文=“Show”大谷泰顕)
岩崎代表が体調に異変を感じたのは、日本でコロナ感染が拡大し始めた2020年の3月27日ごろだった。いきなり原因不明の高熱に襲われた。
「たまたま、俺の周りの人がクラスターになっちゃって。韓国から帰ってきた知人がみんなで鍋をやっていたらしいんだけど、その後に俺たちと接触したのが原因」
コロナにかかると、実際にはどうなってしまうのか?
「急に高熱が出るんですよ。平気で40度を超えるような。当時はまだコロナって得体が知れない感じだったから、ドクターも何が何だか分からない。その中でコロナになったから、すごくたらい回しにさせられて。町医者でカロナールを最初処方されて、もしかしたら? というのもあって紹介状をもらって行った病院ではインフルエンザと言われて(解熱鎮痛薬の)ロキソニンを出されたしね。さすがにそれは直感的に飲まなかった」
結局、40度の高熱が3日ほど続いたため、病院に行かなければならないとは思ったが、たらい回しにされたり、単なるインフルエンザと診断されて追い返されるのは納得がいかない。そこで岩崎氏は考えた。
「頭はクラクラするけど、そこまでの急病ではないと思ってました。ただ、ちゃんと検査してもらいたいから、だったら救急車を呼ぼう。そのほうがこっちの必死さが伝わるはずだと思って」
救急車を呼んで、病院で検査を受けると、「肺に炎症がある」と診断された。
「俺からしたら、またまたあ。そんなわけないじゃんって感じだったんだけど、そしたら今度は体内酸素の数値がどんどん低くなって、入院から2日後だったかな。そこで『ICUに行ってください』って言われたんです」
体内酸素は通常96~98%で、90%を切るとICUを勧められるという。岩崎氏の場合、それが80%台だった。岩崎氏からすれば、確かに高熱ではあるけれど、軽症に近い感覚で来ているはずだった。それなのに……。
「嫌だな、俺、死んじゃう? と思って、一度はICUに入るのを断りました」
しかし、1日考えた結果、結論は出た。
「早くICUに移動すれば、その分、早く退院できるはず。だったらICUに移ろうって。そう思って生涯初の入院に続いて、生涯初のICU入りを決めたんです」