弟子たち“大役”市川海老蔵企画の歌舞伎 「今でいう“Z世代”に向けて大切な公演」

2022年1月21日から23日まで新橋演舞場で行われる市川海老蔵企画公演「いぶき、」。海老蔵が「次世代の俳優たちにさらなる活躍をしてほしい」と企画した公演で、歌舞伎俳優の中村児太郎、市川九團次、大谷廣松らが出演する。今年6月に京都の南座で第1回公演が行われており、東京では初開催となる。

市川海老蔵企画公演「いぶき、」の取材会で行われたフォトセッション【写真:ENCOUNT編集部】
市川海老蔵企画公演「いぶき、」の取材会で行われたフォトセッション【写真:ENCOUNT編集部】

中村芝のぶ、市川新蔵、市川新十郎らが会見に出席

 2022年1月21日から23日まで新橋演舞場で行われる市川海老蔵企画公演「いぶき、」。海老蔵が「次世代の俳優たちにさらなる活躍をしてほしい」と企画した公演で、歌舞伎俳優の中村児太郎、市川九團次、大谷廣松らが出演する。今年6月に京都の南座で第1回公演が行われており、東京では初開催となる。

 第2回公演の今回は、正月らしい華やかな舞踊の「春調娘七種(はるのしらべむすめななくさ)」、「切られ与三郎」の通称で親しまれている世話物狂言「与話情浮名横櫛(よわなさけうきなのよこぐし)源氏店」、舞踊劇「忍夜恋曲者(しのびよるこいはくせもの)将門」の3演目が上演される。同公演には中村芝のぶ、市川新蔵、市川新十郎、市川右若、市川蔦之助、市川升三郎、市川福太郎、市川福之助も出演する。

 芝のぶ、新蔵、新十郎は国立劇場の歌舞伎俳優研修生から歌舞伎界入り。芝のぶは七代目中村芝翫、新蔵、新十郎は十二代目市川團十郎に入門している。また右若、蔦之助、升三郎はそれぞれ初代市川右近(現・右團次)、市川左團次、十二代目市川團十郎に入門。福太郎と福之助は海老蔵の部屋子となっている。

 芝のぶは「(第1回公演の)前回は『妹背山婦女庭訓(いもせやまおんなていきん)』の橘姫をさせていただいた。我々弟子というのは、普段の興行ではそういう役はこないですし、勉強会もあるんですが、お弟子さん同士でやるのが普通です」と告白。「こうして、本興行で役をやっていらっしゃる坊ちゃん方と一緒にお芝居させていただけるだけでもありがたいこと。いつもの勉強会とは違ったすごい緊張感の中でお芝居ができて、すごく勉強になりました」と前公演を振り返った。今回は「春調娘七種」で静御前役を演じ、部屋子の福太郎、福之助と共演。「部屋子さんとさせていただけるということで、(私が)年上ということもありますので、引っ張っていけたらいいなと思います」と意気込んだ。

 新蔵は「この中には国立劇場の研究生出身の人もいる。僕らの勉強会はだいたい国立劇場の小劇場でやることが多いです。でも6月の『いぶき、』第1回は南座で公演できた。毎年年末に顔見世興行をやっている劇場で、1ランクも2ランクも上のお役を務めるという。その緊張感たるやすさまじいものでございました」と恐縮。今回は「与話情浮名横櫛 源氏店」で多左衛門を演じるが、「亡き師匠の市川團十郎のもとへ行った年に、師匠が与三郎をやっておりました。とても懐かしい狂言でございます」と思いをはせた。

 今回が初参加となる蔦之助は「忍夜恋曲者」の光圀役で児太郎と共演する。「光圀をさせていただけるということで、『まさか!』という気持ちが強かったです。正式にお話をいただくまで半信半疑でした。新橋演舞場のような大劇場でお役を務めさせていただける、古典も勉強させていただける。すごくうれしいです。『いぶき、』は我々の大切な勉強場ですが、新しい世代、今でいう“Z世代”に向けて大切な公演だと思います」と興奮気味。また「我々は普段、歌舞伎座の公演ではチラシに名前も載りません」と明かし、「でも我々門閥外の人間が、こういう公演で大役をさせていただけるということは、我々よりも下の後輩や、これから歌舞伎役者を目指そうとしている人たちの希望となる公演ではないかと思います」と語った。

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