【二月の勝者】偏差値58の壁 東大合格者数女子1位の桜蔭 入試の国語は“別次元”の難しさ

俳優の柳楽優弥が主演する日本テレビ系連続ドラマ「二月の勝者‐絶対合格の教室‐」(毎週土曜、午後10時)の第9話が11日に放送された。激変する受験界に舞い降りた最強で最悪のスーパー塾講師・黒木蔵人が中堅進学塾・桜花ゼミナールの校長として小学生の中学受験合格を導く痛快ドラマ。この日は入学試験の過去問題集をカンニングする生徒と“偏差値58の壁”が描かれた。

主演を務める柳楽優弥【写真:ENCOUNT編集部】
主演を務める柳楽優弥【写真:ENCOUNT編集部】

偏差値55の生徒が60の学校に受かることは非常にまれ

 俳優の柳楽優弥が主演する日本テレビ系連続ドラマ「二月の勝者‐絶対合格の教室‐」(毎週土曜、午後10時)の第9話が11日に放送された。激変する受験界に舞い降りた最強で最悪のスーパー塾講師・黒木蔵人が中堅進学塾・桜花ゼミナールの校長として小学生の中学受験合格を導く痛快ドラマ。この日は入学試験の過去問題集をカンニングする生徒と“偏差値58の壁”が描かれた。

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(以下、ドラマの内容に関わる記述があります)

 受験本番まで残り3か月余。正念場を迎えた桜花ゼミナールでは、基礎徹底特訓や志望校別特訓が始まった。校長の黒木はそれぞれの生徒に合った志望校を選ぶ検討会を開くことを各講師に通達。具体的な学校名が次々と登場した。

 Rクラス偏差値37の今川理衣沙(渡邉心結)の第1志望校は吉祥寺女子、第2志望校は帝都女学館、第3志望校は津川田女子だが、模試の結果ではいずれも合格可能性20%、E判定という厳しさ。理衣沙は吉祥寺女子の受験を強行しようとしている母親の期待に応えるため、書店で吉祥寺女子の過去問題集を手に取り答えを丸暗記していた。

 このままでは全落ちの危険がある理衣沙に対し、新米講師の佐倉麻衣(井上真央)は過去問演習の授業で理衣沙に泰知中学校(偏差値43)の過去問の算数を解かせると、70点という成績。佐倉が「合格ライン超えているよ」と高く評価すると、理衣沙はうれしさのあまり涙をこぼす。今の実力でも十分合格できる学校があることを知らせることで理衣沙に自信を持ってもらおうという佐倉の作戦が成功したのだ。

 このように第9話では過去問が大きなテーマになっていたが、興味深いのは黒木と佐倉の会話の中で登場した「偏差値58の壁」という言葉だ。

黒木「偏差値45の生徒が5ポイント上の偏差値50の学校に受かることはままあります。しかし、偏差値55の生徒が60の学校に受かることは非常にまれです。なぜでしょう?」

佐倉「それは……問題の質?」

黒木「ご名答。偏差値55くらいまでの学校の試験は基礎を試す問題が多い。しかし、50台後半以上の学校となると応用を試す問題の比重が多くなります。いわゆる偏差値58の壁です。偏差値60台の学校となるともはや別次元。今の今川さんが解いたところで計算問題すら解けないでしょう。多分、書店かどこかで過去問を立ち読みしてるんでしょうね」

 Ω(オメガ)クラスで偏差値68の前田花恋(田中絆菜)の第1志望校は桜蔭(偏差値70)で模試による合格可能性は65%B判定だ。黒木の言葉を借りれば、泰知の入試は基礎学力を試す問題が多く、桜蔭は“別次元”ということになる。では、どれほど難しいのだろうか。

「桜蔭の過去問では特に国語が難しいとか、狂っているとか言われています。漢字の読み書きを除いたほぼすべてが記述式で文章の難易度が高く難解な言葉も多い。開成中や麻布中など男子御三家を凌駕する難しさでもはや大学入試レベル。現役東大生でも全問正解は難しいのでは」(塾講師)

 2020年度の国語の試験は長文読解の大問題が2問で小問がそれぞれ5問。「()変()化」の四字熟語を完成させる問題や自己カンケツ型の「カンケツ」を漢字で書かせる問題が出されたほかは、「登山がスポーツなのかどうなのか」について述べた本の題名が「エベレストには登らない」(作者・角幡唯介)であることを提示して題名に込めた作者の思いや、文中にある「コペルニクス的転回」を具体的に説明させた。

 次いで2問目は「思いはいのり、言葉はつばさ」(まはら三桃)の小説の一部を読ませ、登場人物の喜びや手紙を書いた動機を説明させる記述問題となっていた。

「『エベレストには登らない』の中心概念は自己存在確認、『思いはいのり、言葉はつばさ』の方は文字の根本的意義を問うものですが、小学校6年生がこれを50分で読み解くわけです。日ごろから小説や評論を読んで論理的思考を身につけないと桜蔭中の国語は歯が立ちません。桜蔭中を目指す生徒の中には有名中学合格実績が高い進学教室のSAPIX(サピックス)小学部とは別に国語専門の進学塾に通うケースが少なくありません」(同)

 桜蔭中入試の配点は国語、算数が各100点で理科、社会は各60点。国語と算数のウェートが高いため国語力がないと致命傷となる。逆に文章を読むのが大好きな子どもには有利だ。子どもにいかに大量の文章を読ませるか――。日ごろからの親の姿勢も試されているのだ。

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