5人に1人の大学生がワクチン接種に「圧力感じる」の調査結果 バイトや単位を気にする声も

岡山・倉敷新型コロナウイルス感染対策市民審議会が、全国の大学生・短大生・専門学校生を対象に新型コロナワクチン接種に関するアンケート調査を実施。5人に1人の大学生が「ワクチン接種に圧力を感じている」ことが分かった。

大学生・短大生・専門学校生の新型コロナワクチン接種状況
大学生・短大生・専門学校生の新型コロナワクチン接種状況

全国の18~24歳の大学生・短大生・専門学校生の男女1098人を対象にアンケート

 岡山・倉敷新型コロナウイルス感染対策市民審議会が、全国の大学生・短大生・専門学校生を対象に新型コロナワクチン接種に関するアンケート調査を実施。5人に1人の大学生が「ワクチン接種に圧力を感じている」ことが分かった。

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 調査は2021年11月2日~5日の期間、全国の18~24歳の大学生・短大生・専門学校生の男女1098人を対象にインターネット上でのアンケートで実施した。新型コロナワクチンの接種状況については、1回目が「未接種」が15.3%、「接種済」は84.7%。2回目は「未接種」が19.8%、「接種済」が80.3%となっており、大学生に関しては、8割以上が接種をしている状況だった。

 接種した目的については、「重症化を予防するため」が92.3%、「自分への感染を予防するため」が89.0%、「症状が出るのを防ぐため」が88.7%、「他者への感染を予防するため」が86.5%で、「周りの友人や家族が接種しているため」は75%に上った。重症化、発症予防目的の接種に関しては厚労省の方針に沿っているものの、個人や他者への感染予防に関しては、科学的根拠が明らかになっておらず、厚労省の示す方針と異なる結果となっている。

 また、新型コロナワクチン接種を推奨するような圧力を感じたかどうかについては、22.6%が「はい」と回答。5人に1人以上の学生が接種の判断において社会的な圧力を感じている状況が明らかになった。圧力を感じた具体的に場面については、「実習や授業への参加、単位の取得など」が54.4%、「部活動などの課外活動への参加」が47.6%、「アルバイトやボランティア活動などの学校以外の活動への参加」が51.2%に上った。大学内外問わず、社会全体として圧力を感じている状況がうかがえる。

 接種をしないことによって起こる不利益な状況について、自由回答形式の調査では「バイトでシフトが入らなくなる。(女性20歳)」、「ワクチンを打たないとサークルのイベントの参加が困難になる。(男性/20歳)」、「接種しないと実習に行くことができないため、単位が取れない。(女性/21歳)」、「採用の取り消しなど。(男性/24歳)」などの声が上がった。

 厚労省では「ワクチン接種は本人の意思に基づくものであり,接種を受けていない人に差別的な扱いをしてはならない」という方針を示しているが、大学や企業においても周知されていない状態が浮き彫りとなった恰好だ。12月3日の副反応検討部会では、心筋炎、心膜炎が重大な副反応として記載されることが決定したが、新型コロナ感染症での重症化リスク、死亡リスクの低い健康な若者が個人の健康上のメリットデメリットだけではなく、社会的な圧力の影響で接種の判断をしている状況が読み取れる。

 今回の調査結果を受け、神戸大学大学院の國部克彦教授は「ワクチン接種に圧力を感じるかどうかは基本的人権の問題として極めて重要だ。圧力を感じること自体が、不当な人権侵害が生じている可能性を示す。それが20パーセント以上にも上るということは重大で、早急に問題を認識し、対策を取る必要がある」と指摘する。

 調査を行った岡山・倉敷新型コロナウイルス感染対策市民審議会は「厚生労働省が提示している新型コロナワクチン接種に関する方針や副反応に関する情報の周知をより進める必要がある」と結論。今後は5歳~11歳への接種も検討されているが、「現在の状況では、ワクチン接種の有無によって小学校でもいじめや差別が起こることが懸念されます」とし、今回の調査結果を厚労省に提出、保護者が自分の子どもへ接種するかどうかを判断するのに充分な情報が届くよう丁寧で分かりやすい周知の徹底と啓発を要請している。

次のページへ (2/2) 【写真】新型コロナワクチン接種に関して圧力を感じた場面についての調査結果
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